かくして理想の景色は繰り返された、少し想像の斜め上気味で
フェス文化が浸透しきった今、ライヴハウスを後にする道すがらに「***は#$%で見てみたいよねー」というやり取りを聞くことも珍しくなくなり、自分たちもそれをカンタンに描けている。サウンドスケープなんてことばが根付く今日、音楽はそれ自体を色や写実で見せてくれるようになった。
そういった意味でフィールドオブへブンでダチャンボなんていう組み合わせはズルいというくらいにぴったりで、誰しもが待ち望んだ景色と言えるだろう。もはや常連となった彼らの出演は、感動に感動を重ねたようなGOMAの名演からその勢いを引き継ぐ形で、序盤から温かい歓迎を受け止めながらもツインドラムのグルーヴがうねりを見せ、漕ぎ始めた船のように波に乗り勢いをぐるりぐるりとつけはじめていた。
それにしてもいつの間にこんな頼もしい、タフなグルーヴ感を備えるようになったのだろう。継ぎ目のないビート、螺旋のように絡まったり放射線状に放たれる表情ゆたかなサウンド、そして自由の讃歌を高らかに響かせる声…。変則的な楽器の構成も今やひとつのユニットとして型にはまったどっしり感、風格のようなものすら覚える。今年彼らは10年目を迎え、フジロックは15年目を迎える。GOMAの感動も飲み込み、オーディエンスを”連れていこう”とする様は、「ヘブンでダチャンボ」というお決まりの、その先に向かい始めているのだなという期待が見える。
中盤からは完全に晴れ渡り、さんさんとした輝きとナチュラルカラーで彩られたダンスフロアはより高揚の高みを突き進む。そして最後は大成功というほかないような歓声で終わった。10周年おめでとう、そして、これからもよろしく!
写真:北村勇祐 (Supported by Nikon)
文:RJ