荒々しい爆音による狂騒的なステージ
BRITISH SEA POWERの絢爛なロックに続いて登場するのは、今年2月の来日公演も記憶に新しいNO AGEの2人組。なぜか緑色のヘルメットを被って登場したドラム&ヴォーカルのディーン・スパント、そしてニット帽を被っての登場のランディ・ランドールが中央に陣取って、ホワイト・ステージに狂騒的なロックを轟かす。これが想像以上のやかましさ! まさしくカオスと呼ぶにふさわしいステージが繰り広げられた。
NO AGEは名門SUB POPの現在の最重要アーティストのひとつといわれている2人組。08年に発表した2ndアルバム『Nouns』がPitchforkで9.2点を獲得するのを始めとして、世界的に高い評価を獲得している。また、昨年リリースした『Everything In Between』も好調で、それを引っ提げての今年2月の来日公演も好評だったと聴く。結成してからこれまで着実に成長を遂げて、大きな存在となっているといえるだろう。
そんな彼等がいきなりのホワイト・ステージへの抜擢だったが、その舞台に全然負けない堂々としたパフォーマンスが頼もしい。苗場の空気を切り裂き、焼き焦がすような爆音が、どこまでもどこまでも轟く。ジーザス&メリー・チェイン系譜のノイジーなシューゲイズ・サウンドに、よりガレージやパンクの趣が感じられるのが彼等の特徴だと思うのだが、ライヴだと荒さと勢いをより感じさせる演奏が印象的。ディーンはシンプルなドラムセットながら力強く手数を打ち出しながら歌い、ランディは耳を劈くようなギターを弾き倒す。それらが交錯する事で圧倒的なグルーヴが生まれている。恐ろしいほどの破壊力とやかましさには、すぐに体中が熱くなってしまった。もちろん、会場も一気に喧騒を増して大いに盛り上がっている。
所々では彼等流にポップと向き合ったり、枯れた哀愁や美しいメロディを混ぜたりもしている。っが、クライマックスに向けて加熱するアンサンブルと共に走り続ける様はひたすら凄かった。そこには彼等の美学が詰まっていたといっても過言ではない。ステージを勢いよく走り回ったり、客席の方に飛び込んだりと動きも活発。合間には写真撮影しながらリラックスする場面が見受けられたりもした。最後には登場した時に被っていた緑色のヘルメットを被っての荒々しい演奏。その姿がまさに本日のハイライトであった。
ひたすら走り続けた彼等の初のフジロックは、そのまま今の自分達の勢いを物語っているようだった。これからどこまで加速するのか、世間の注目は増していくばかりだろう。
写真:古川喜隆
文:伊藤卓也