苗場食堂の最後を飾るのはゆるりとしたインストゥルメンタル
赤犬のドラムス、濱本大輔、元ザ・マイスティースのキーボード藤井学、同じく元ザ・マイスティースのヴォーカル、次松大助で結成されたマンハッタン。昭和歌謡に路線変更?した赤犬と甘いスカサウンドに定評のあったザ・マイスティースのメンバーから生まれる音楽って一体?と興味津々で望んだ最終日、苗場食堂だった。
赤犬とザ・マイスティースはそれぞれにホーンセクションを持っているのが共通項だが、マンハッタンの音楽はドラムス、キーボード、シンセサイザーというシンプルな編成でリズムや音響を重視した、ゆるいノリのインストゥルメンタルだった。シンプルといっても次松のシンセに至っては足もとにはいくつかのエフェクターやスネアドラムや木魚のような音のなるウッドブロックなどが配備され、曲中で上下左右に行き来する姿が印象的だった。
息のピタリと合う、3人の独特な間合いに圧倒されながらも、軽やかに刻むオルガンの音、しっかりとリズムを叩くドラムスで知らぬ間に体は動き、無意識にその音に没入していることがわかる。アンコールを含めわずか4曲ほどの短い時間であったが、最終日の夜に相応しいチルアウトなひとときだった。
写真:Julen Esteban-Pretel
文:千葉原宏美