GREEN STAGE 7/22 FRI TAGS : LIVE REPORT 7/22 FRI GREEN STAGE

JAKE BUGG

LIVE REPORT

若いけど、もう若手じゃない。

 日差しがでて暑くなりフェス日和になってきたフジロック1日目の午後、グリーンステージにはジェイク・バグが登場した。適度な人の埋まり具合だった。ステージにはジェイクの他に、下手からキーボード、ベース、ドラムという編成。背後には、新しいアルバム『On My One』の垂れ幕が下げられている以外はシンプルな印象だった。

 まずは「Slumville Sunrise」から始まる。ジェイクは、黒いTシャツに黒いパンツ、黒いストラトのギターを弾く。凛とした表情と声。以前、観たときはまだ少年ぽい雰囲気そのまんまだったけど、そのときより芯が太くなっていた。そして今回驚いたのはギターがこんなにうまいのか! ということで、アーミングも取り入れつつ器用なギターソロを弾く。

 ストラトからテレキャスにギターを持ち替えて「Love, Hope and Misery」の哀しく冷んやりとした歌がグリーンステージに響き渡る。スクリーンに映し出された端正な顔、その印象通りの丁寧な歌、そしてそれを際立たせる的確な演奏がひとりひとりの心に深く染み込んできたのではないだろうか。あまりの素晴らしさに涙ぐむ。

 本国UKではどのように受け止められているのか、日本とは違うのかもしれないし、ステージ前の熱心なファンはやっていたけど、みんなで大合唱するとか、一斉に手を挙げることもなく、音楽を楽しんで共有するというよりも、個人として対峙するタイプのミュージシャンなので、フェス的な熱狂とはちょっと違う。だけど、こうした歌が広大なグリーンステージで聴けるのもまた幸せなことだろう。

 ジェイクも淡々と演奏を進めるし、長いMCをして積極的にお客さんたちとコミュニケーションをとることもないし、お客さんを煽ったりもしない。だけど、グリーンステージにおける存在感はしっかりと残せた。唯一、90年代初頭のマンチェスターを思わせるダンスナンバーである「Gimme the Love」で踊らせて、最後は「Lightning Bolt」。さすがにこのときはステージ前でかなりの盛り上がりをみせて締めくくった。まだ20代前半の若者。これでここまでやったのだから、今後の成長を楽しみにしたい。

セットリスト(原文のまま)
SLUMVILLE SUNRISE
TWO FINGERS
MESSED UP KIDS
LOVE HOPE AND MISERY
LIVING UP COUNTRY
TROUBLE TOWN
SEEN IT ALL
THE LOVE WE’RE HOPING FOR
BITTERSALT
ME AND YOU
BEAST
PUT OUT THE FIRE
TASTE IT
KINGPIN
SIMPLE PLEASURE
GIMME THE LOVE
LIGHTNING BOLT

Text by イケダノブユキ Posted on 2016.7.22 16:00