SPECIAL OTHERS
ヘブンにSPEあり!150分ロングセット
バンドはメジャーデビュー10周年、フジロックは20回目。そこに来て150分というインストジャムバンドの底力を発揮してくれよ、と言わんばかりの土曜、ヘブンのトリという位置付けである。ヘブンに移動しようと思ったらBECKと丸かぶりなのが後ろ髪引かれまくりだったのだが、”Devil’s Haircut”を背中に聴きながら山道を急ぐ。
ヘヴンに着くと、PA前からステージまで音の良さそうな場所には熱心なファンが、そして晩御飯と晩酌タイムに突入しているオーディエンスも周囲を固める。つまり相当数の動員というわけだ。いつも通りのいでたちで登場した4人はセッションで音を合わせて”BEN”に突入。もしかしたら勘のいい人はこの時点で気付いていたのかもしれないが、なんとシングルをリリース順に全15曲、MCも休憩も挟まず演奏する、それがこの150分セットの中身だったのだ。
シングル曲の中でも”IDOL””AIMS””Laurentech”あたりまでくると明らかにヘブン全体の反応がビビッドになってくる。思えばインストジャムバンドへの憧れが先行していた06年当時のナンバーも今やすっかり演奏の自由度も、それを支える音楽家としての引き出しも全然増えているわけで、ファンにとっては鉄板ナンバーの連投というニュアンスだと思うが、初めて聴く、見る人にとっては広くジャズやレゲエやロックを吸収してインストであるにも関わらず、歌モノに匹敵する展開のある音楽という印象だったんじゃないだろうか。
それぐらい音楽としてアレンジや演奏力の進化が伴って、一つのセットリストとして成立していたように感じたからだ。ロック寄りの楽曲作りになった頃もあれば、再びルーツに回帰した時期もあり、それらを踏まえてナチュラルにSPECIAL OTHERSのオリジナルらしさが増している今を十二分に感じる今がある。
彼ら自身はより高度な抜き差しができるようになっただけで、ロックバンドのような煽りは全くしないバンドであるにも関わらず、ライブハウスはかなりあアグレッシヴなフロアになっていたことも近年あった。しかし、SPECIAL OTHERSは好きに身体を揺らして楽しむのが一番心地いい。もちろんステージ上はいい緊張感に包まれていたが、ヘブンのムードはどんな人も受け入れる。そこでたまたま出会ったステージがフジロックの中でも、そしてバンドにとってもレアなものだったのだからラッキーというほかない。
スペアザはヘブンが似合う。そしてこの日以降、また新たな目標が4人の中に生まれるんじゃないだろうか。見事な集中力に裏打ちされたステージだった。
セットリスト
BEN
Uncle John
IDOL
Surdo
STAR
Good Morning
AIMS
Laurentech
PB
wait for the sun
Beautiful World
ROOT
neon
Good Luck
I’LL BE BACK
LIGHT