フジロック2日目、本日のグリーンステージのオオトリのベックがまだ演奏中にもかかわらず、レッドマーキーはパンパン状態だ。集った聴衆が待ちわびているのは、2010年来6年ぶり、4度目のフジロック出演を果たすクーラ・シェイカーだ。今年でデビューから20年迎えた彼ら。そんな記念すべき年にリリースした新譜『K 2.0』を引っ提げ苗場に帰還だ。しかもフジロックも20回目！そんな出来過ぎの舞台を一目見ようと人がどんどん集結してくる。

開演10分前になると会場に流れる音が一層大きくなり、Beirutの”Goshen“が感動的に響きわたる。Four Tetの”Parks“が流れるなかステージが暗転し、ゆっくりと円を描くサイケな映像が映し出されると、シタールなどの流麗なインド弦楽器音が流れ、会場にサイケデリックなトリップ感を醸成していく。メンバー5人が登場し、フロントマンのクリスピアン・ミルズが”Sound of Drums”の怪しげなギター・フレーズを奏でると、大歓声が上がる。「Happy birthday, Fuji!!」と叫ぶクリスピアン。20回目のフジロック祝いも兼ねたグルーヴィーなロックショーのはじまりだ！のっけからフロアは熱狂の渦と化す。

続けてクリスピアンがハーモニカを軽快に鳴らし、ホークウィンドのカバー”Hurry On Sundown”へと移行。ブルージーな質感にたまらず身体を上下に揺らすクラウド。会場全体が波打っているかのようだ。すぐさま”Grateful When You’re Dead / Jerry Was There”を投下し、会場のテンションは一気に最高潮を迎えるのだ。フロアからの熱に呼応し、これでもかと頭を振りまくり、ギターをかき鳴らすクリスピアン。う～ん、かっこいい！惚れ惚れしますな。

シタールの妖艶な響きがバックに流れ、新譜『K 2.0』からのリードトラック”Infinite Sun”がはじまった。歌詞の内容が示すと思われる羽ばたく紅い鷲がスクリーン映し出される。インド音楽と60～70年代ライクなブルージーなロックとで織り成すクーラ節満載のサイケデリックサウンドは健在だ。ハリー・ブロードベントが奏でるキーボードの音色がグルーヴに華を添える。

メンバー紹介をはさんでキャッチーな”Shower Your Love”へなだれ込み、矢継早にクリスピアンが歪ませた音を放ち、ヘヴィなリフを刻む。”Here Come My Demons”だ。クリスピアンの煽りに楽曲の一部を歌い上げるオーディエンス。多くのファン集結していると見て取れる。ファンの放つ熱気に呼応してか、クリスピアンの「Everybody come on!!」との絶叫で締めくくるのだ。”Smart Dogs”では宙にギターを放り投げて締めたし、クリスピアンのテンションも相当高いようだ。「まだラストにゃ早いよ！」との声がフロアから飛ぶ。

これ以降のラスト4曲は必殺曲の連発だ！照明が深紅に落ち、怪しげなマントラが響きわたるなか、”Tattva”の呪文のようなラインを発声すれば会場に今夜一番の大歓声が轟く。すぐさまペダルを踏み込みギターをワカチョコ鳴らせば、フロアから「1, 2, 3, 4!!」との掛け声からディープ・パープルもカバーしたジョー・サウスの名曲”Hush”が繰り出された！虹色にキラキラ輝く照明が映えて最高にかっこいいステージとなった。

この後、一旦メンバーがはけたがアンコールを求めるまでもなくすぐに戻って来た。インドの調べが流麗に響き、そして徐々にに出音が大きくなり”Govinda”へとつなげる。う～ん、あの会場が一体となった大合唱はすごかった。ラストでバンド渾身の爆音を出力し「See you soon!」と一言投げかけステージを後にした。これで終わったかと思いきや鳴り止まない歓声応えるべく再び戻ってきた！で、やっぱ最後はこれだよな！ベースとドラムのグルーヴィーな畳み掛けるビートが飛び出せば、ここ二日間で耳にした中で一番の大歓声が巻き起こった。リフが刻まれれば、それに合わせて「ヘイ！」と返し、サビ前の「チャッチ・ザ・サン！！」とあらん限りに叫ぶオーディエンスと共に最高のグルーヴとともにステージの幕をおろした。

彼らは11月にファースト・アルバム『K』の再現ライヴをしに再来日を果たす。今夜並みの、いやそれ以上の熱いステージになること必至だろう。観逃し、聴き逃し厳禁だ！

-Setlist- *ライターメモ
Sound of Drums
Hurry on Sundown
Grateful When You’re Dead / Jerry Was There
Infinite Sun
Shower Your Love
Here Come My Demons
Mountain Lifter
Mystical Machine Gun
Smart Dogs
Tattva
Hush
Govinda
Hey Dude