South Penguin
熟れているようで、初々しい
2014年結成の4人組・South Penguinは、東京インディの隠れた新人。ルーキー出場決定の段階で、ライブ経験はゼロ。しかし、Taiko Super KicksやYogee New Wavesと親交があるなど(しかもギター・エダシュンスケはかつてYogee New Wavesのサポートメンバーだったとか)、密な横のつながりを持っている。さらに今月20日に発売されたファーストEP『alaska』では、元・森は生きているの岡田拓郎がプロデュース。D.A.N、LUCKY TAPES等を手がける葛西敏彦もエンジニアで参加しているというから、South Penguinにも期待しないわけがない。
かしこまっていなければ、気取ってもいない、落ち着いた様子でステージに現れる4人。まもなく、“alaska”がはじまる。水面をかけるような美しいギターリフと、ファンクするベースのうねり。そして、アカツカ(vo,gt)の淡い声は浮遊感があり、しっとりとした空気が会場を包み込む。そして“ame”、“cloudy”と、繰り出される曲は“alaska”の雰囲気のままで、バンド全体の世界観が統一されている。前述のようなバンドと近しい部分もあるんだけど、70年代フォークだとかシティポップだとかそれだけに括れない。渋谷系っぽい“aztec!”とか、プロフィールに書かれた「和製コナン・モカシン」という言葉など、周囲とは違う魅力が光る。
この日唯一話したMCは、KOHHの挨拶に影響を受けたという内容のちょっと初々しい話だったが、大人びた演奏能力とのギャップが感じられ、どこか微笑ましかった。彼ら、楽曲数もライブ経験もまだまだこれからなのに、すでにしっかりと個性を確立させている印象。伸びしろがあるし、追いかけるなら今からでもまだ充分間に合う。この時期に見ることができたのは大変ラッキーだった。