GREEN STAGE 7/23 SAT TAGS : LIVE REPORT 7/23 SAT GREEN STAGE

TOM ODELL

LIVE REPORT

バンド編成で進化を遂げたドラマチックなピアノロック

気持ちのいい快晴となったフジロック2日目。色とりどりのキャップやハットがステージ前を彩っている。グリーンステージの2番手を務めるのは、UK発のシンガーソングライター、トム・オデール。今年6月にリリースした2ndアルバム『Wrong Crowd』でアーティストとしてさらに進化してみせたトムだけに、3年前のフジロックとは違うステージをみせてくれるに違いない。

開始時間を少し過ぎてしまうほど念入りにサウンドチェックが行われ、5分遅れでバックバンドと一緒にトム・オデールが登場した。Ray Banのサングラスをかけ、グレーのジャケットの下からはマイ・モーニング・ジャケットのバンドTシャツがのぞいている。完全におしゃれイケメンである。しかし、いざピアノの前に座り、美しい旋律を奏で始めると一気に表現者の表情に変わった。ドラム、ベース、ギター、パーカッションにバックボーカルというバンド編成でプレイされるなか、トムが情熱をこめてピアノを弾き、歌う。バンド・サウンドにこだわって2ndアルバムを製作したというこだわりが表れていた。またバンドメンバー全員がコーラスを歌うため、まるでゴスペルのように厚みがあるハーモニーを聴かせる。“I Know”では観客から手拍子が上がり、“Can’t Pretend”では魂のこもった熱唱を聴かせて歓声を浴びていた。熱のこもったパフォーマンスに魅せられて、ステージ前にはどんどん人が流れ込んでいく。

ピアノを離れマイクスタンドに立って歌った“Concrete”、激しいピアノロックで盛り上げた“Daddy”など、聴きどころはいくつもあったが、クライマックスはラストに演奏した新曲の“Magnetised”だろう。その前にプレイした1stからの名曲“Another Love”同様に、美しいピアノの弾き語りに始まり、壮大なバンド・サウンドに展開して盛り上げていくのが実にドラマチックで感動的だった。「アイシテマス、フジロック!」とMCで感謝を述べたトムは、ステージ前方で手拍子を煽ってから急いでピアノに戻り、バンドと息の合った激しい演奏を聴かせて約1時間のステージをしめくくった。情熱的かつ繊細なトムの歌声と、その魅力をさらに引き立てるバンド・サウンド。確かに進化を遂げたトムの魅力を思い切り堪能できるステージだった。

セットリスト(原文のまま)
Still Getting Used
I know
Wrong Crowd
Can’t Pretend
Concrete
Daddy
Grow Old With Me
Another Love
Magnetised

Text by Paula Posted on 2016.7.23 13:46