BEN HARPER & THE INNOCENT CRIMINALS
最高の布陣が生む最高のオーガニック・ロック
小雨降るグリーンステージ。天気予報では「湯沢町、降水確率0%」と出ていたが、フジロックなので、降りますよねと。そんな肌寒い気候のなかで、12年ぶりの参戦となるベン・ハーパー&ジ・イノセント・クリミナルズ(2009年はベン・ハーパー&リレントレス7で出演)を待つ。待ち時間のBGMには、アレサ・フランクリンなど、往年のソウルナンバーが中心に流れている。
まず、ベン・ハーパーひとりで現れた。スライドギターを手に椅子に座り、膝の上に置いたスライドギターにそっと手を置く。そして、しばらくの間(ま)…。優しく弦を爪弾き、“All My Heart Can Take”、“Mutt”と、温かくもしっとりと聞かせる。いきなり心をグッと掴むオープニングだ。そこにバンドメンバーが登場。オーガニックなナンバーから一転し、ブルース・ロックなナンバー“When Sex Was Dirty”、“Burn To Shine”。続けて、圧巻だったのは、ベンとフアン・ネルソン(ベース)の掛け合いが凄まじい“Fight For Your Mind”から“Them Changes”へのシームレスな展開。ベンのブルージーなギターフレーズに、フアンのファンキーで重心の低いベースラインが噛み合って、最高のグルーヴを生み出している。ここまででもかなりお腹いっぱいだったが、ラスト前の“How Dark Is Gone”ではベンの泣きのメロディに心打たれた。最後は”Faded”、間奏時にレッド・ツェッペリン”The Ocean”のワンフレーズを挟み込むあたりに、ニヤリとせずにはいられなかった。
今回彼らのステージを、今”グリーンステージ”で見ることができて、改めて思ったのはフジロックの健全さ。初年度から20年経ち、時代に寄り添うという部分で変わらなければいけない部分は当然あって。そんな中でも、彼らのような血沸き肉躍れるバンドがメインステージのトリ前を飾り、オーディエンスの心に感動を生んだ事実は、とても嬉しくあった。
【セットリスト】
All My Heart Can Take / Mutt(acostic)
When Sex Was Dirty
Burn To Shine
Fight For Your Mind / Them Changes
Don’t Take That Attitude To Your Grave
Finding Our Way
Call It What It Is
Better Way
How Dark Is Gone
Faded