FLIGHT FACILITIES
エレガントな「飛行場」
“飛行場”を意味するユニット名通り、パイロットと操縦士のアーティスト写真通りのいでたち(コスプレ?)で、管制塔を模したセットをホワイトステージにぶっ立てたFLIGHT FACILITIES。離陸のアナウンスとともに登場(搭乗?)するという徹底ぶりだ。
去年リリースのヒットアルバム『ダウン・トゥ・アース』はそれこそ、カイリー・ミノーグら多数のフィーチャリング・ボーカルを迎えた作品なわけだが、現状の世界中でのフェスやツアーでは男女一人ずつボーカルを振り分けて歌モノ・ナンバーに関してはカバーしていくようだ。
“STAND STILL”では少し舌足らずで愛らしい印象の女性ボーカルが実はかなりレンジの広い歌い手であることは徐々にわかっていくのだが、まずはホワイトで聴くキックの音が相当いい。ディスコ・デュオと呼ばれたり、はたまた所属するオーストラリアのインディーズレーベルの名門「Future Classic」のレーベルメイトであるフルームやチェット・フェイカーと同列に語られることもある彼ら。でもライブで実感すると、ディスコというほどコテコテに踊らせるわけでもなく、アンニュイでパーソナルなエレクトロという印象でもない。
全体的に歌モノが多いせいで、コンパクトにエレガントなハウスのセットを見せていくという印象。「APOLLO」では、ゴキゲンなキックがさらに威力を増す。一方、男性ボーカルの「HOLD ME DOWN」はかなりR&B寄りの歌唱がライブという場でダイナミクスを備えていい相乗効果を生んでいた。そして最大級のヒット「CRAVE YOU」のストリングスと鐘の音が印象的なイントロダクションから、最も大きな歓声が上がり、FLIGHT FACILITIESの二人も熱く「フジローック!」と煽っている。映像もグラフィカルで美しく、終盤には飛行機どころか宇宙から見た窓の外の風景になっていたのにがちょっとユーモラスだった。なんたってあのコスなんだから。
それにしてもアグレッシヴなハウス以外でホワイトのトリ前を務めるユニットというのも、音楽ファンのニーズの変化を感じるものがある。世代を問わず聴きやすく研ぎ澄まされたセンスを持ったダンスアクトが重要な流れの中にいること。これも2016年のフジロックらしさの一つと言えそうだ。
セットリスト
INTRO
SUNSHINE
WITH YOU
STAND STILL
WAKING BLISS
APOLLO
TWO BODIES
FOREIGN LANGUAGE
HOLD ME DOWN
DOWN TO EARTH
CRAVE YOU
CLAIR DE LUNE