CON BRIO
灼熱のファンクネス
フジロック2日目の夕方4時前、陽が傾きはじめ、人を燦々と照りつける一番熱い時間帯のヘブンに登場するのは、前夜祭と、昨晩のクリスタル・パレス・テントで激アツなステージを繰り広げたコン・ブリオだ。
コン・ブリオは、サンフランシスコにて往年のソウルやファンク、R&Bを下地にカリスマ性に溢れるシンガーのジーク・マッカーターを中心に、演奏スキルの高い猛者たち7人で結成された。オーストラリアのバイロンベイ・ブルース・フェスやアメリカのボナルーなど世界各地の名のあるフェスで評判を一手にさらっているバンドだ。ちなみに”コン・ブリオ”とはイタリア語で「元気に」、「生気に満ちて」、「気迫を持って」といった意味を持つそうだ。
噂を聞きつけ駆けつけたのか、アヴァロンから会場のヘブンに至る道が人でごった返している。もちろんステージ前方は既にパンパンな状態だ。どんどんオーディエンスが集結していく中、開演時刻を迎え、6名のバンドメンバーが登場した。そして、一斉に”Paradise”の重厚なテーマを出力する。トランペット奏者のブレンダン・リウがこれでもかとリズムに合わせて身体をムーヴしステージ上にグルーヴの更なる醸成を試みている。深紅のジャケットをはおってスター然とした出で立ちのジークが登場し、バンドが繰り出すグルーヴに合わせて身体をセクシーにくねらせながらマイクスタンドに近づいていく。「元気ですか!フジロック!!」とシャウトし、フロアからの大歓声を浴びるのだ。続く”Money”で左右に軽やかにステップを踏み、”Sundown”では締めで足を180度に開脚して終始キレッキレのダンスをかますジーク。マイケル・ジャクソンやプリンスを彷彿とさせるほどの切れ味だ。
落ちかけた太陽がステージ側に燦々と輝き、照り返しがきつい中、激アツの音とグルーヴで会場を更に加熱していく。ギターのベン・アンドリューズがファンキーにカッティングを、渋くいなたいキーボードのソロをきめれば、ジークは絶妙なタイミングで「スクリーム!」とフロアをアジテートし、「エヴリバディ、ダウン!」と座らせ一斉ジャンプを促したりする。絶妙なタイミングで合いの手を入れてくるのだ。コン・ブリオの面々は盛り上げ方を熟知しているようだ。今、ヘブンの盛り上がりは沸点に達している。これはもはやヘブンではないな。灼熱のファンク地獄だ。オーディエンスはジャンプし、手を叩き、ダンスしまくりだ。
テナーサックス奏者のマーカス・スティーブンスが不協和音をブロウし、ベンのギターも縦横無人に暴れまわる”Free & Brave”の黒くファンク印のグルーヴが一斉に出力されると、ジークはTシャツを脱ぎ捨て、最後の最後まで渾身のパフォーマンスを繰り出す。「11月に戻ってくるぜ!」と約束してラストでバク宙を3度叩き出し、灼熱のステージをバシッと締めくくった。今年のフジロックに出演した新顔の中でもっとも鮮烈な印象を残したのは彼らではないだろうか。
セットリスト(原文のまま)
Paradise
temptations talking
Son Down
Open Close
Give it all
Money
FREE AND BRAVE
Never Be the Same