MURA MASA
東洋的な美メロと重低音で魅せた次世代の才能
今年のフジロックは気鋭の新人アーティストが多く出演するのが見どころの一つだけれど、深夜のレッドマーキーに登場したムラ・マサもその一人。15歳で音楽作りを始めてすぐにメジャー・レーベルの目に止まり、2015年にデビュー EP『Someday Somewhere』をリリースしたエレクトロ・プロデューサーだ。毎年英BBCが選ぶ注目の新人リスト、 サウンド・オブ2016でも堂々5位にランクインし、スクリレックスやディプロからも熱い視線を送られている。そんなムラ・マサはなんとまだ20歳!初来日となる今回のライヴでその才能を存分に見せつけた。
12時を回ったレッドマーキーでは、D.A.N.が演奏を終了したところで一気に人がはけた。椅子にもたれている疲れた観客が後方まで広がっている。ステージ前は人が少なく、新人ゆえに知っている人が少ないのかなと一瞬思ったのが、それは杞憂に終わった。12:30になるとライヴ開始直前までに集まった大量の観客が、大歓声でムラ・マサをステージに迎えた。ムラ・マサはドラムパッドとPC、シンセサイザーを交互に演奏しながら“Was It Worth It”でライヴをスタート。続く“Lovesick Fuck”からは、ゲストシンガーとしてレーベルメイトのシンガーBonzaiがステージに加わり、前方のファンたちが熱狂的に反応!4月から各地を一緒にツアーして回っている2人の相性は抜群だ。
ライトで美しいメロディーとヘビーな重低音のバランスが絶妙で、じっくり聴くこともできるし、ガンガン踊ることもできるライヴ展開。“Lotus Flower”など東洋的な音階のメロディーが多用されるところも特徴的なムラ・マサの音楽世界に、グイグイ引きこまれていく。“Cloud Clap”“Nuggets”などで観客を盛り上げまくった中盤からヒット曲“What If I Go”“Firefly”とつなげると、レッドマーキーのボルテージがMAXに到達!予想以上の盛り上がりに驚くほどだ。若干20歳にしてガッツリ盛り上げるパフォーマンスを掌握しているなと感じたけれど、それ以上に楽曲の良さが魅力なのだろう。ムラ・マサは最後にステージ前方まで出てきて、観客に感謝する仕草を見せた後、持ち場に戻って美しいピアノの旋律を奏で、ステージをしめくくった。ミニマルなトラップからキャッチーなR&Bミーツ・エレクトロまで美メロで彩り、独自の世界観で魅せたムラ・マサ。繊細で素晴らしいライヴが胸に響き、大きな感動を与えてくれた。今後のさらなる成長から目が離せない。