LIVE REPORT WHITE STAGE 7/28 FRI

the HIATUS

オーディエンスとともに

土砂降りの雨もやみ、快適。ホワイトステージの奥の山々まで良く見えるほど、空気も澄んでいる。お次は、the HIATUSの出番。2011年の出演から6年ぶり、2回目の登場となる。「前回のフジロックは足を怪我していてギプスをしていたから、今回はやっと自分の足で立てた」と細美武士(vo)。「フジロックには特別な思いがありすぎる」と話すほど、彼とフジロックの結びつきは強いだろうが、いつだって新しい気持ちでステージに立っているようだ。

“Clone”から始まり、“Geranium”と続く、しっとりとした幕開け。“Thirst”になると、ウエノコウジ(ba)の低音に体の芯まで揺さぶられ、細美のひたすら真っ直ぐな歌声に圧倒される。まるで、苗場の自然すべてを味方につけたような力強さがあるのだ。ハイエイタスと苗場の自然…彼らとここで出会うまでは考えたことがない組み合わせだったが、非常に心地が良い。

さらに細美は、オーディエンスと目線が限りなく近いアーティストである。今回も、「フジロックに来ると、ついこの前まで何で悩んでたのか、わからなくなっちゃうんだよね」と話す。つらくなって、軽い荷物さえも持てなくなったときの曲として“radio”をプレイ。からっとしたアコースティックギターのカッティング音が爽やかで、それは夕日のように、夕方のホワイトステージに注がれる。「ここで楽しんで、また1年頑張ってほしい」と、オーディエンスにエールを送るが、それは、自分に言い聞かせているようにも見えた。

終盤は久々の“Shimmer”に歓声が沸き起こり、“Insomnia”でグッと盛り上がったと思えば、“紺碧の夜”にで最高潮に。同曲序盤でダイヴが巻き起こり、終盤は伊澤一葉(key)のきらびやかな旋律でロマンチックにフィナーレを迎える。フジロックという開放的な空間で、悩みなんて吹き飛んでるとは思うけれど、忘れられないなら、彼らの曲で暴れてしまえばよい。the HIATUSは、どこであっても救いの手を差し伸べてくれる、共感してくれる、寄り添ってくれる。そんなバンドなのだろう。

 Photo by 岡部智子  Text by 梶原綾乃 Posted on 2017.8.10 11:05