「なんか雨でゴメンなぁー! フジロック、始まるよー!」
フジロック初日、数日前から断続的に降り続いている雨の中で、ホワイトステージに集まったお客さんに向かってこう叫んだのは、この日のトップバッター「毛皮のマリーズ」のボーカル、志磨遼平だった。
"ボニーとクライドは今夜も夢中"から始まった演奏は、ド真ん中のロックンロール。ボーカルの志磨関西訛りのMCもあって、ロック黄金狂時代・ミーツ・70年代京都大学西部講堂コンサートといった感じ。魔女的フェミニンオーラ全開の志磨、ベースのヒロTこと栗本ヒロコがボーカルを務める"すてきなモリー"ではヒロTの側に寄って、頬にキスして見せていた。
「フジロッカーを代表して、ロックの神様に捧げます!」
そう語って志磨が歌い出したのは"それしかできない"。開演前、ステージ上方の巨大スクリーンに映し出されたのは、スマイルが描かれた日の丸と「東北の皆さんへあなた方の微笑みを」のメッセージ。
そして演奏中、その巨大スクリーンに映し出されていたのは、メンバーの楽しそうな笑顔と、そして百花繚乱に咲き乱れたような色とりどりのレインウェアに身を包む、お客さんの笑顔だった。
写真:岡村直昭
文章:小田葉子