空は明るいけれども相変わらず朝から雨が降ったりやんだり。フィールド・オブ・ヘブンの地面はそれほどぬかるみはないもの、少し奥まった場所にあるので移動するのもなかなか大変だ。それでもあら恋ことあらかじめ決められた恋人たちへの演奏が始まる頃にはじわじわと人が集まってきた。
あらかじめ決められた恋人たちへってバンド名?エレクトロ・ダブかぁ、お酒でも飲みながら座ってまったり見ようかな、なんて思っていると見事に裏切られてしまうだろう。フロントマンの池永が力いっぱい空を叩きつけるように指揮をとると、ドンと始まる爆音。地響きのように鳴るベース、バックに流れるノイズ、それとは対象的に哀愁漂うメロディラインを奏でる鍵盤ハーモニカと歌うようなテルミン。フロントにあるマイクは歌でもMC用でもなく、鍵盤ハーモニカの音を拾うためと、絶叫用である。
力の抜ける脱力系ダブもいいが、汗が飛び散るような肉体系ダブでリズムを刻むのも心地良い。かと思えば、生まれてくる子供を待っていたに作ったという“Calling”では爽やかな風を吹かせてくる。そしてラストナンバー“ラセン”で再び叩き付けるように激しい轟音を鳴らし、客席の温度を確実に上げて去っていった。
写真:北村勇祐 (Supported by Nikon)
文:名塚麻貴