独占! 女の40分
しかしだ。ステージに現れたのはターキー(水ノ江滝子)ではない。いやー、スゴいもの見ちゃったなー。ロックに演歌、パンクにシャンソン。全ての音楽にブルースの魂を注入する、パンチの効いたブルースの登場だ。
フジロック二日目も佳境に差しかかった21:30。苗場食堂のステージに、彼女達が現れた。「マダムギター」こと長見順、前年レッド・マーキーを揺らしたSUPER JUNKEY MONKEYのベース、かわいしのぶ。そしてex麝香猫のドラマー、GRACE。実は2003年のフジロックで苗場食堂の箱バンを務めていたこともあるダイナマイト・レディー三人組だ。草食系男子のエネルギーなど余裕でカツアゲしてしまうぞ。そんな長見姐さん、いきなりギターを炸裂させて一言。
「私たちは、パンチの効いたブルースです。そんじょそこらのブルース・バンドじゃーありません。世界で一番です。(きっぱり)」
いざライヴが始まれば、スーパーのレジでバーコードおやじについてツイートする女性をテーマにブルース炸裂、歳下の男について歌い上げるシャンソン(?)炸裂、身体にYKK的チャックのついちゃった不思議生物ソングが炸裂。こう列記していくとそれだけでめまいを起こしそうだけど、これがパンチというものなのだ。
お客さんも普通に見ていると危険。「加藤さんのテーマ」では、名前が加藤さんのお客さんが餌食になり、またもやブルース炸裂。ラストの"舟歌"のハードなブルースっぷりはもう問答無用状態で圧巻。裏のグリーンステージのフェイセズも一発KOしてしまいそうな、パンチの効いたライヴだった。
写真:横山正人
文章:小田葉子