ブリティッシュ・シー・パワーがやっと帰ってきた!2004年のグリーン・ステージ以来8年振り。ホワイト・ステージを躍動と感動と手拍子と大合唱の渦に包み込んでくれました。オセアニア・ツアー真最中にフジ・ロックに来てくれた彼ら。忙しいスケジュールの合間を縫って、マーティン(ギター)、フィル(ホルン・キーボード・ギター)、紅一点のアビ(ヴァイオリン)の3人がインタビューに答えてくれました。
ー前回フジ・ロックに出てからだいぶ経ちますが、再びここに来られてどんな気分ですか?
マーティン(以下M):エキサイトしているよ。ずっと日本に戻ってくるチャンスを待っていたんだ。フジ・ロックにまた来る事ができて嬉しいよ。
アビ(以下A): フジ・ロックのお客さんはベストだわ。
ー先ほど、ステージでもそう言っていましたよね。オーディエンスもそれを聞いてとても喜んでいましたよ。
M:なんか日本のお客さんは僕たちをとても心地よくしてくれるんだよ。何故かな?
フィル(以下P):今日もさ、ステージが始まる10分前くらいはホワイト・ステージにあまり人がいなかったんだけど、僕たちがステージに出た途端、オーディエンスが前方に走ってきて、みんな笑顔になっていて、素晴らしいよ。
M:それに、(インタビューエリアにある「足湯(footbath)」と書かれている看板を見て)英国にはこんな大きい足湯もないしね(笑)
ーフェスと単独のライブではセットを変えたりしますか?
M:そうだね、セットは変えるね。フェスでは知られている曲をセットに入れるようにしているね。特に今回のセットはファースト・アルバムの中からの曲やニュー・アルバムからの曲、そして日本に来るのにちょっと間が空いたからその間に出したアルバムからの曲といった具合に演奏したね。
ーじゃあ、来日公演が決まったら新譜中心なセットで(笑)
M:そうだね。今回のライブで新曲にも興味もってもらって、ちゃんとしたセットでやりたいね。
そうそう、僕たちが初来日した時、東京に着いてまず目の前にある文字のなにもかも意味がわからなくて「わー、どうしよう」と困ってしまったものだよ。さらに、街中で止まったタクシーから酔っぱらったビジネスマンが倒れるように降りて地面に寝ている姿を見て、「なんて所なんだー」って、もの凄く驚いたよ(笑)忘れられない思い出さ(笑)
ーところで、ステージ上にある木の枝って、現地で集めているんですか?
M:そうだよ。たいていはマネージャーを通して木の枝を集めておいて下さい、と頼んでおくんだ。で、当然のことだけど集められた木の枝には虫がいっぱいついているよね。いつもだったら、木の枝にどんな虫がついているか想像つくんだけど、今回は見た事もないような虫が次から次へと出て来たんだ!(笑)緑色の蜘蛛が出て来てさ。緑色なんて、いままで見た事ないよ!(やや興奮気味)更に、プレイ中に蜂みたいな虫が腕に止まった。ギターひきながらブンッ、て腕振りながら避けていたよ(笑) 家に帰って緑の蜘蛛が出て来たらどうしよう(笑)
ーブリティッシュ・シー・パワーのライブではお客さんが木の枝を持ってくる時がありますよね?
M:そうだね。面白い話があってね、先日オーストラリアのシドニーでライブをやったんだけど、都会の真ん中のベニューだったから木の枝を調達することが出来なかったんだ。そうしたら、大きな枝を持って会場にやって来た人がいたんだ。
ーえええーーー?!本当に。
M:うん、本当(笑)全然知らない人だよ。普段だったら関係者じゃない人がベニューの入口に来ても入れてもらえないんだけど、この時だけは「どうぞどうぞ」って入ってもらったんだ(笑)
ーフェスにお客さんで参加したことはありますか?
M:何度もあるよ。フェスでプレイした後、週末ずっとそのフェスで過ごすこともあるしね。
P:バンドにいると様々なフェスを体験出来るのはとてもラッキーなことだね。僕は子供の頃にモンスター・オブ・ロックへ行ったのが初なんだ。素晴らしいフェスだったけど、ひどい出来事もあってさ。メタリカを見たくてオーディエンスの中にいたんだけど、いきなり誰かにぶたれたような気がして「痛いな」と思ったらミルクのボトルが当たっていたんだよ。誰かが放り投げていてさ。更にそのミルクをお客さんがまき散らしてなんともいえない臭いが充満して自分の服にも染み付いちゃったんだ。
その時僕は13歳で、ママは出かける時は「行ってこーい!」て励まして見送ってくれたのに、臭い服で戻って来たら「ああ、もう、出てってちょうだい」だって(笑) アビの初フェスはなに?
A: アイル・オブ・ワイトよ。それほど大きくないフェスなんだけど。そこで私はブリティッシュ・シー・パワーを見たの。2003年か2004年だったかしら。
ーへー。ご縁ですね。では、次の質問です。自分がフジ・ロック規模のフェスを主催することになったら呼びたいアーティストを挙げて下さい。
A:ロッキー・エリクソン。彼はグレイトよ。
P:スレイヤーだな。
M:プリンス。次、アビの番だよ(笑)
A:うーん、ちょっとパス。次、フィル。
P:トランザム。Trams Amて書くんだよ(日本語表記はトランズ・アム)
M:僕の次は、ケイト・ブッシュ!
A:リー・スクラッチ・ペリー。金曜日にプレイしたのよね。見られなくて残念だわ。
P:スレイヤー。
M:またスレイヤー?!(笑)僕は、そうだな、ディアハンター。アビ、ディアハンターの次は?
A:うーん、どうしよう。
M:あ、思いついた。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド。実現したら凄いよね。あと、スティービー・ワンダー。
A:ディジー・ラスカル。
M:ああ、いいねえ。いいラインナップじゃない?これ、1日で見たいよねえ、3日に分けるなんてできないよ。金曜日のラインナップってことにしない?(笑)ブリティッシュ・シー・パワーのブリリアントなフェスティヴァル・金曜日さ(笑)
ーでは最後に、フジロッカーズにひとことお願いします。
M:サイコーーーーーー!!!
P:さっき楽屋で教えてもらったから言ってみたくてたまらないんだよ(笑)
今日ステージで「ノー・ルシファー」という曲をやったでしょ。あの曲は「EASY! EASY! EASY! EASY!」ていうかけ声で始まるんだけど、さあ始めようって時に、そうだ「FUJI! FUJI! FUJI! FUJI!」にしようって。すごく基本的な事だけどフェスを盛り上げるのに良かったよね。
あ、それと足湯を楽しんでね!(笑)
いやはや、本当にもう仲良しな3人でインタビューしているこちらもほのぼのとしてしまいました。最後に写真撮影、ということでフジ・ロックのポスターの間に入っていただきました。マーティンはこだわりの表情です。ありがとうございました!
写真:熊沢泉
文:熊沢泉・堀内里美