モーレツ轟音アタック
ものすごい轟音!
三日間降り続いた雨もものともせず、まだまだ楽しむ空気満々のフジロッカーズ。そんな空気を受け止めるのは、場外に位置す不思議エリア、パレス・オブ・ワンダー。サーカスではバイクやらお姉さんやらが空を飛び、金属のオブジェが非日常空間を彩っている。そんな一角に存在するのが、オーディション式登竜門ステージ、ルーキー・ア・ゴーゴーだ。フジロック最終日、ルーキーステージに現れた女の子二人組がステージ上で向かい合うと、猛烈な音量を炸裂し始めた。
この日最初に登場したのは、TADZIO。ボーカル&ギターのLeaderは高めのマイクスタンドに爪先立ちで向かい合い、さながらモーターヘッドのレミーのような凄まじい佇まい。対するのは無表情でドラムをどつき回す(もう、どつくと表現したくなる)ボーカル&ドラムのBucho。このベースレスの二人組、時おり女子運動部のような気合の入ったけ声をお互いにかわし、あまりの轟音に横のサーカスのスタッフを苦笑いさせるほどの大音量で演奏をうねらせて行く。演奏にのる透明感あふれる歌声も対照的でインパクト十分。ライヴ後半、ゲストにDJを招きいれ、さらにミクスチャー&ガレージ感を加速させる。
今年ルーキー・ア・ゴーゴーにはいつもと違う企画が用意されていた。ステージ横のブースに投票箱が設置され、今年のルーキーステージの出演者を対象に、お客さんによる投票が行われているのだ。一位となったルーキーアーティストには、なんと来年のフジロックのメインステージいずれかが用意されている。彼女たちがもし来年登場してくれるとしたら、どのステージがいいだろう? この轟音は、ぜひ野外のホワイトステージ、屋内のレッドマーキーあたりでビリビリ体感したいものである。
写真:深野輝美 (Supported by Nikon)
文章:小田葉子