ルーキー・ア・ゴー・ゴーの取材で3日間パレス・オブ・ワンダーに通っていると、どのバンドがいかに注目されているかが手に取るように分かるようになっていた。
最終日のルーキー・ア・ゴー・ゴーで一番注目株は彼らだったに違いない。THE××ズと書いて、ザ・チョメチョメズと読む。事前にプロフィールを見ていたのだが、このバンドは初めから何かがおかしい。プロフィールの文章は異様に長いし、メンバー紹介もこうだ。「2009夏、無意識で髪の毛をちぎるボーカルなつみと、お尻ぶりっとしてる系肩幅男子ギターめんちょが中心となり結成される。のちに、カメレオン系きのこ男子ベースあんどりゅーと、九死に一生系面長男子ドラムセクシーワイルドの加入で現在のTHE××ズとなる。」今年のルーキー・ア・ゴー・ゴーの出演者の中で気にならずに、期待せずにはいられないバンドだ。そんな面白いもの見たさなオーディエンスが集まっているようにも感じられた。
「ここは見せ物小屋かよ」
ライブ中盤、頭をかきむしりながらヴォーカルのなつみは叫んでいた。シフォンのブラウスに膝丈のスカートを身にまとい、一見すると清楚で美人な彼女が、マイクに向かってそんなセリフを吐き出すと会場の空気はがらりと変貌を遂げる。興味本位で見に来たら終わり。彼らの波に一気に飲み込まれるだけだった。
ライブ中、しきりに挑発的な言葉を口にするなつみや、ステージ上にはピンクのパンツ一丁のドラム、BUDDY GUYのキャンセルが悔しくて仕方ないギター、スピーカーの上によじ登っておもむろにお客さんを写メするベースがいたり……会場中に“THE××ズ”という混沌とした空気を撒き散らして去って行った。目を離すことのできないパフォーマンスをした彼らは、きっと多くの人の記憶に残ったに違いない。
写真:深野輝美 (Supported by Nikon)
文:岡安いつ美