オルタナティヴ・サウンドの中に光る声
ヤーチャイカ。まずこの覚えやすい名前がよい。彼らは08年に結成した、男2人と女2人の4人編成のバンド。都内を中心にまだ小さなライヴ・ハウスで活動している段階だが、今回アーティストの登竜門と言われるルーキー・ア・ゴー・ゴーに出演を果たした。
年齢は不明だがまだどこかあどけなさが残る彼ら。ステージ上に上がる前は「どうしよう、どうしよう」と緊張してお腹をさする場面も。だが、やはりここはバンドマン。ステージ上にあがると、ガラリと変わって堂々とした演奏を繰り広げていく。と思えば、2曲目が終わったところで、ベースのキク値ユウタロウにトラブル発生。なんでもライヴで初めて弦を切ってしまったとか。時間はロスしてしまったが、無事に他のバンドにベースを借りて再スタート。
彼らの楽曲はオルタナティヴ・サウンドの中に、哀愁あるメロディを乗せるというのが特徴的。ただそう言ってしまうと、どこにでもいるようなバンドだと思われてしまいがち。彼らの武器はやはりなんといっても、ヴォーカルのニシハラシュンペイの少し甲高い声なのだと思う。きっと一度聴くと、頭から中々離れないはずだ。楽曲に関しては”光は水のよう”などは、人の心を鋭く見抜いた詞にハッとさせられることも。
全体的には、あと何か1歩がほしいような気もする。それが何かは明確には分からないが、活動を続ける中で模索し、さらに大きく成長してほしい。また、メンバーに話を訊いた際、次は苗場食堂に出演したいとも。ぜひ目標を達成してほしいものだ。
文:松坂愛
写真:深野輝美 (Supported by Nikon)