盛り上がりの特効薬、カフェドパリでも魅せる
2日目、カフェドパリ。オレンジコート横の小道を行きながら、徐々に近づいてくる音の賑やかさで顔がほころんでくる。今年のベストアクトとして、おそらく多くの人が口にするであろうChe Sudakaのカフェドパリでのライブ、昨日パレスで行われたライヴも上々だったようで、ツイッターを見ていると彼らを多くの人が”発見”したことが分かる。そのせいか…カフェドパリ、オールスタンディング、ものすごい人!
メンバー編成はギター2人とリズム隊、そして彼らの音を特徴付けるアコーディオンの調べと、お祭り野郎のチェ本人だ。南米の出自を象徴し、かつ我々にとっては牧歌的音色としての印象が強いアコーディオンの入ったロック。そんなフェスおあつらえのサウンドを、チェスダカのお兄さんがかきまわすかきまわす!一応パリ朝イチのバンドだというのに、みんな大騒ぎの手上がりまくり、お祭り本番の光景である。
…と、いった具合に先程から驚きまくりの興奮しまくりなレポートであるが、冷静に考えても彼らのようなラテン・ロックの引力は他の音楽を圧倒するものがあると思えてならない。ことフジロックにおいては99年のTodos Tus Muertosに始まりFermin Mugurza、Manu Chao…思いついて書き出せるだけでもこれだけのバンドたちが、フジロックという限られた機会において着実に一見さんのハートをつかんでいるという事実がある。経験者としては驚くべきほかない。
実際にチェスダカのステージングに目をやろう。例えば中盤の爆発を誘った”Bam Bam”、「Bam」「Yeah」「Babyron」の3語で構成されたフックの単純さ、そしてそれを支えるアッパーなリズム…一度聴くだけその場にいるオーディエンスほぼすべてがシンガロングできる音楽的性能というか、その即効性は驚きに値する。
ショーは傑作『Aerta Bihotza』からの曲を中心に、”Englishman In New York”スペイン語カヴァー(アレンジ?)を織り込むなどピークタイムの瞬間をいくつも見せた。我らオーディエンスも手を左右に降ったり幾度も拳を作って突き上げたり…という時間の連続。わかりやすい名演ならではの現象である「気づけば最後の曲」にあっさりたどり着き、昼イチのお祭りは小規模かつ盛大にフィナーレを迎えた。