緑の中に響く愛の歌
フジロッカーにはお馴染みのジャムバンドDACHAMBOのフロントマンであるボーカルのAOが、AO YOUNGとしてソロアルバム『Heartfull Moon』を今年の4月に発表した。ソロではさまざまなアーティストとコラボレーションしているAOだが、今回のアルバムではのMAJESTIC CIRCUSの柴田吾朗を迎えている。DACHAMBO、MAJESTIC CIRCUSともに普段はジャムバンドとして活動しているのだが、今日のライブはその姿を想像している人には驚きだっただろう。
開始時間が近づくにつれて木道亭のステージの前では、持参した椅子や木の上に座ってまったりする人たちが少しずつ増えていった。前の方には幼稚園くらいの子供が座っている。そこに上下スーツを着てハットをかぶったAOと柴田が登場した。え、本当に普段ジャムバンドをやっている方ですか?
「DACHAMBOでは奇声を発してるから」と笑いながら言うAOの歌う曲は自身のバンドの激しさとは異なる「シンプルな愛の歌」の数々。これは311以降に考えた答えだという。そんなアルバムから”Love your life”、”三日月”、”JOINT”など、ギターを抱えたAOとピアノの柴田の2人というシンプルなメンバーと楽器だけでアコースティックな音を繰り広げてゆく。
「じゃあフジロックのために、みなさんのために」と言って最後に歌われたのは、これもニューアルバムに収録されている曲、”Shine & Light”。演奏が終わったあとに、2人がこっそりと握りこぶしを合わせていた姿をにこにこしてお客さんが眺めてしまうような、和やかな雰囲気が木道亭に広がっていた。
写真:北村勇祐 文:名塚麻貴