今年始めて木道亭に登場したSUGEEは、世界中を旅した経験があり、ミュージシャンであると同時に植物による空間プロデュースをてがけているという。オーガニックでピースフルな音源がどのように苗場で再現されるのかとボードウォークを進んだ。
お台場を含めてフジロックには3回来たことがあるというSUGEEは、もともとフジロックに出たいなという気分があったとのこと。状況をよく把握した上でのあえての選択なのだろう、マルチな才能の持ち主がチョイスしたジャンベとボーカルのみというシンプルなセットは森の中の木道亭という空間にフィットしていたように思う。SUGEE自身がMCで「木に反響して、すごく気持ちいいですね」といっていた通りだ。
はじめのうちは若干固さが感じられたものの、次第にSUGEE本来ののびやかなボーカルや言葉のひとつひとつを大切にするきめ細かさが表現されて来て、最終的には力強いステージになっていった。歌いながらのパーカッションはさすがに難しかったのだろう、ところどころよれていたのが残念だったが、全体の説得力が失われることもなくお客さんを魅了していた。
フジロッカーズだけでなく、苗場の木々に受け入れられていた午後のステージであった。
写真:府川展也 文:永田夏来