美しいインストゥルメンタルが奏でる至福の時
AT THE DRIVE-INやREFUSED、FUCKED UPにCHTHONICなど、3日目のホワイトステージには濃すぎるラインナップが集まっている中で、EXPLOSIONS IN THE SKYが満を持してのフジロック初出演である。アメリカはテキサス州オースティンのインストゥルメンタル・ロック・バンド4人組で、フジロックの常連MOGWAIとも比較される音楽性やライヴ・パフォーマンスに定評がある。昨日、オーケストラとともにつくりあげた荘厳なステージで感動の渦に巻き込んだ盟友・MONOとも親交が深い。来日公演は、そのMONOが主催したRaidWorld Festival’ 08以来、実に4年ぶりのことになる。
今回は、3人のギタリストとドラマー、そしてサポートのベーシストの5人体制でのライヴ。「フジロック、ゲンキデスカー」と登場してすぐに挨拶をした時は気さくな印象もあったのだが、初めて見た彼等のライヴに思いっきり圧倒されてしまった。荘厳な旋律が幕開けを告げた”Catastrophe and the Cure”でスタートするとトリプル・ギターが共鳴し、ドラマティックに風景を綴っていく。美しいメロディ、力強く刻まれていくリズムを主体に物語は歩みを進め、やがては壮大な音の調べと変わる。終盤ではギタリストのひとりがスネアを叩きだして、躍動感を強めたラストが会場を熱狂させていた。
” Postcard From 1952”では叙情的な旋律の連続でうっとりとさせ、特に大きな盛り上がりを見せた”The Birth and Death of the Day”へと続く。張り詰めた緊張感をいたわるような優しさを時に見せるも、驚くほどに激しく楽器を描き鳴らしていたのが印象的だ。終盤からの怒涛の展開、鳥肌が立つほどの轟音に興奮しっぱなし。長い年月をかけて研ぎ澄ませてきたドラマティックなインスト・サウンドはやはり素晴らしく、その後も”Your Hand In Mine”、” Let Me Back In”を演奏して見るものをどんどんと引きこんでいく。
なかでも、徐々に日が暮れていく中で演奏されたラストの” The Only Moment We Were Alone”は、今年のフジロックのベストな時間のひとつだったといえるのではないだろうかと思う。美しいギターの音色が重なっていき、凝縮、そして解放へ。小気味よい手拍子に包まれた中で炸裂した轟音には、みなが歓喜の雄叫びを上げる。気持ちよく飛び跳ねて感情を爆発させる人も見受けられ、彼等の出演がいかに切望されていたかがわかる。やがて再び訪れる一瞬の静寂…の後に今度はバンド名通りの大爆発が巻き起こり、苗場の風とともに押し寄せる神々しさを伴った轟音で彩られたクライマックスは、本当に至福の時間であった。
–setlist–
1. Catastrophe And The Cure
2. Postcard From 1952
3. Birth And Death Of The Day
4. Your Hand In Mine
5. Let Me Back In
6. The Only Moment We Were Alone