80年代におこなわれたアトミックカフェにも登場したことがあるというヒカシュー。
寸前におこなわれたオレンジコートのライブも大変よかったとのことで、最前列にはファンが陣取っている。しかし、会場を埋め尽くした観客の中には後に控えたASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文のソロライブが目当ての観客も多いはずだ。ニューウェーブという単語の普及率も危ぶまれるアウェイでどのようなライブをおこなうのか。
“プヨプヨ”でスタートしたアクトは「ヒカシューは35年やっているけど、最初から老けているのでなかなか老けません」とのMCに続いて最新アルバム『うらごえ』からの”筆を振れ、彼方くん”が演奏された。一度舞台袖に引いた巻上公一は、ロシアの民族衣装であるフワフワの毛皮の帽子に白いコートという出で立ちで再登場。「現在にゴジラを蘇らせることで、私は未来への希望を歌い上げたい 困難と戦う力を」という演説風のMCにつづいての”ゴジラ伝説”は渋さ知らズからのホーンを加えたさすがの迫力で、アバロン全体がぐっと引き込まれていった。
フジロックではすっかり御馴染みになったちゃらんぽらんたんが「小美人」に扮したモスラのテーマで客席を魅了し、「富士山の麓に、日本中から若者を100万人集めよう」とのMCやゴジラ対へドラの説明に続いて麻里圭子/ハニー・ナイツの”かえせ!太陽を”のカバーが演奏された。この曲では苗場食堂での土曜日のライブが評判だったキノコホテルよりマリアンヌ東雲がボーカルを務め、会場の中でゴーゴーダンスを踊る人もみられた。そして最後はクラフトワークの”Radio-Activity”がプレイされ、STOP!STOP!が絶叫されるなかステージは終了したのであった。
“プヨプヨ”が終わったところでは若干ぽかんとしていた観客であるが、巻上のMCをくすくす笑いながらも真剣に聞く女の子や「電気グルーブに…似てる?」とささやきあうカップルがみられ、最終的にはヒカシューの世界にしっかりと浸った様子であった。アウェイどころかすっかりホームに逆転させ、ヒカシューは去って行った。