この経験を糧に
ルーキーステージにふさわしいぐらいに“ルーキー”という言葉が本当にぴったりのバンドだろう。静岡県浜松からやってきた平均年齢19歳という若手3人組のロックバンドのdeepNowである。19歳ということは、今年の春に高校を卒業したばかりということになるのか。それがいきなりこういった大舞台に立っちゃうのだから、人生に何があるのかわからない。
定刻の0時を過ぎると、ベース、ドラム、ギター&ヴォーカルの順にステージに登場し、”自己完結出来ない少年A”からライヴがスタート。雷鳴のようなギターが轟き、レッド・ツェッペリン等を思わせる古色蒼然とした風味と現代的なニュアンスを溶けこませたサウンドを奏でていく。クセのあるロックンロールで、衣装もちょっと独特のセンスを感じさせる。歳相応でないというか。それでもキリっと引き立つ真っ直ぐな歌とメロディには、彼等と年が近いほどグッと来るのではなかろうか。時折挟むベーシストとのツイン・ヴォーカルも熱くさせられた。
ただ、様々な理由はあるだろうが(RADIOHEADの終わり&帰る時間と重なったということがやはり大きいか)、集客はかなり厳しいものがあった。びっくりするぐらいの少なさで、寂しさすら覚えるような状況。それでも「最後のぎりちょんばまで楽しまないともったいないと思うよ。」という言葉通りに、その後も若者の熱演は続く。全力でぶつかって静岡の魂を見せつける。
「みなさん、音楽の力を信じていますか?音楽の魔法を信じていますか?いまは亡き人たちに捧げた曲です。”LIKE FOR YOU”」という紹介から始まったこの曲では、勢いよくドライブした前半から、途中でテンポを落としてブルージーに攻める。一癖も二癖もあるそんなサウンドがやはり持ち味。ラストの「Take7」まで、気持ちを全面に出して彼等は走り続けた。
deepNowはこの後、ライジングサンの新人枠、RISING★STARにも出演する。まだまだ可能性がある若いバンドだけに、この経験を糧にしてたくましくなってほしい。そして大きく羽ばたいて苗場に戻ってきて欲しいものだ。
deepNow
写真:岡村直昭 文:伊藤卓也