TRAVIS
今年デビュー20周年を迎えた、雨歌バンドの万感ライヴ
トラヴィスがグリーンステージに出演すると、ひとつ期待してしまうことがある。グリーンの空は雲の間から少し日が射すくらいの気候。今年は雨…降るだろうか?さらに、今日はフラン・ヒーリー(ヴォーカル/ギター)の43歳の誕生日で、今年はフジロックと同じく、トラヴィスもデビュー20周年のアニバーサルの年を迎えている。これだけスペシャルな状況が揃ったんだから、きっとグリーンステージにも奇跡が起きるはず!
開演時間を迎え、グリーンステージにはファンによりユニオンジャックやスコットランドの旗が掲げられていて、準備万端の様子だ。そこに、フラン、アンディ・ダンロップ(ギター/マンドリン)、ダギー・ペイン(ベース)、そしてニール・プリムローズ(ドラムス)がステージに登場。20年間ずっと変わらないこの布陣。彼らの、仲の良さ、結束の強さがあるから、20年間変わらず続けて来れたんだろうなと、今改めて思う。“Sing”から始まった彼らの20周年ライヴは、“Selfish Jean”で早くもオーディエンスのテンションはマックス押し上げる。心なしか、バンドメンバーのテンションがいつも以上に高い。フランのヴォーカルもいつも以上の歌い上げっぷりを見ている。演奏中も、メンバー間で常に笑顔が耐えないし、この日の彼らのコンディションの良さが伺えるようで、なんだか見ていて幸せな気分になった。ライヴ中盤の注目は“Where You Stand”。曲前にフランがおもむろにステージを降り、柵を乗り越えオーディエンスの中になだれ込む。このとき、そっとファンからパーティー用の三角帽子がフランの頭に被せられ、自然発生的に生まれた「ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー♪」の大合唱。誕生日を迎えたフランへ、ファンからの心憎い演出だ。フランがファンに肩車で担がれて、“Where You Stand”がスタートする。歌い出しの部分で、伴奏と歌が少しズレるというハプニングもあったが、その辺はご愛嬌。途中からは、フランが仰向けの状態でファンに抱え上げられ、歌いながらゆっくりとオーディエンスの上を泳いでいく。その光景は。少し日が差し込む暖かいグリーンステージの中で美しく映えていて、彼らのフジロック出演史上でもトップクラスの名シーンとなった。後半は新作『Everything At Once』から、さらに“3 Miles High”、“Paralysed”、“Magnificent Time”、過去作品から“Side”、“Closer”、“Flowers In The Windows”とトラヴィス定番ソングを連投し(ちなみにこの日“Turn”はやらず)、最後は“Why Does It Rain On Me?”(通称「雨歌」)を大シンガロング大会で締めた。結局今年は雨降らなかったけれど、これもまた良しだ。
終演後、ステージを再びおりたフランは、柵に上がり、最後のギリギリまでファンと触れ合っていた。そう、だから、みんなトラヴィスが好きなんだよ。
【セットリスト】
Selfish Jean
My Eyes
Animals
Where You Stand
Moving
3 Miles High
Side
Paralysed
Closer
Flowers In The Windows
Magnificent Time
Why Does It Always Rain On Me?