グループ魂
叫べ、下ネタ!中年の男たちが見せる最高の悪ふざけ!
いやあ、ひどい。今年のトップバッターは本当にひどかった。
フジロックのグリーンステージという世界で名を連ねているアーティストが出演するような大きなステージで、「セックス!」「ペニス!」「松居一代!」と、昼の11時半から下ネタと悪ふざけのオンパレード。あまりにも恥じることなく、テンポよく、想像できる下ネタを発するもんだから、見ているこちらまで気持ち良くゲラゲラ笑えてしまう。グループ魂を見た後で、子どもが「オナニーって何?」なんて親に質問したら、どう責任を取ってくれるんだ!ある程度覚悟はしていたけれど、こんなに笑うなんて思ってなかったよ!ほんと!
朝の挨拶が終わり、「不治」という文字が大きく背中に書かれた港カヲル(46歳,cho)が一人で登場する。もうビジュアルだけで面白いんだもん。ずるいよなあ~……。ステージを隅々まで走り回り、時事ネタを交えながらの下ネタ。会場にいる人達(特に男性)を温め、他のメンバーの全員が登場。
1曲目は“ペニスJAPAN”。そうか、そうきたか!この曲は、「ペニスJAPAN!」という拳をあげながらのコール&レスポンスからはじまる。これだけ大声で下ネタを叫べるんだから、盛り上がるに決まっているでしょう!「下ネタと音楽は国境を越える!」と破壊(Vo)が言っていたけれど、本当にその通りだと思う。
“竹内力”、“チャーのフェンダー”、“彦摩呂”と有名人ネタを交えた曲中も、まあ破壊の投げる青いスリッパが空中に美しく舞っていく。いかに遠くにまで飛ばせるのかのコツを捉えていて、いちいち上手い。コント中心のパンクバンドだし、全員が俳優。いい年した大人が全力でふざけている癖に演奏も、ところどころ入るダンスも上手いんだよなあ。“さかなクン”で見せた、バイトくん(大道具,cho)のものまねですら、異常に高いクオリティだった。
20年以上振り切ってふざけ続けていると、全体の笑いをかっさらっていくのは勿論なんだけど、きちんと形になるんだなあ、なんて思ってしまった。表題曲である“君にジュースを買ってあげる♡”での安定した盛り上がりは、彼らが本気でふざけまくった結果だろう。多分、きっと、恐らく……。
“嫁とロック”での「毎年いけないフジロック その日は嫁と小旅行 嫁の不在は俺のチャンス」、“Over 30 da the 魂”の「30過ぎてシコるって最高だよな!」という歌詞には、主に嫁と子供を置いてフジロックに来ているであろう30歳を過ぎた男性陣の野太い声があがる。本当におかしかった!グループ魂のメンバーの世代、フジロックに来ている主な世代とが見事にマッチしていて、会場全体の雰囲気が中学2年生からまるで成長していない。でも、年齢を重ねて生活も変わった現在の年齢の辛さも曲に反映しているというか。みんな、仕事も生活も、少しずつ無理をして金曜日のフジロックに来たんだなあ~……。
最後は、“グループ魂のテーマ”。全裸の港カヲルが観客に向けて大開脚を見せつける。そして港カヲルの港カヲルが少しだけ顔を覗かせている。不覚にも、最後の最後まで笑い続けてしまった。もう下品を通り越し、大の大人がふざけにふざけたステージ。トップバッターを飾った歴代のアーティストの中で、音楽の力も借りながらこれだけ笑いを取りに行った人たちっているんだろうか。笑い過ぎた1時間。本当にひどかった!(笑)。「もう、フジロックに呼ばれないかなあ?」なんて言っていたけれど、もう絶対に呼ばれないと思う(笑)。呼ばれないことをちゃんと予期しているのに、あそこまで悪ふざけをし続ける中年の男たちの姿は、むしろかっこよさすら感じてしまったよ!