DOCTOR PRATS
一発目からクライマックス
前日におこなわれた前夜祭で多くの人たちの心を掻っ攫ったスペインはカタルーニャからきたドクトル・プラッツ、翌日はホワイト・ステージの朝イチに登場した。
曇りでちょうどいい気候の山の中、ステージではサウンドチェックがおこなわれていた。「ウノ、ドス、トレス……」という声に「やっぱりスペインのバンドなんだな?」と実感する。徐々に人も集まってきている。
昨日も書いたけど、フジロックにはスペインとかイタリアとかスウェーデンからきて初見のお客さんを惹きつけてしまうバンドがある。それが、マヌ・チャオやフェルミン・ムルグサやバンダ・バソッティやレーヴェンだったりする。ドクトル・プラッツもその仲間にすぐ入った感がある。
セッティング中に、なぜかマイケル・ジャクソン「ダーティー・ダイアナ」、ジャーメイン・ジャクソン「ザッツ・ハウ・ラヴ・ゴーズ」、フランク・シナトラ「マイ・ウェイ」などが流れる。雨が少し降ってきて、みんながささっとレインウエアを取りだす。
ステージMCが「昨日からきている人!」と呼びかけるとたくさんの手が挙がった。やっぱり昨日のステージを観たのできている人がいる。そしてバンドが登場。キーボードのヴィクトル・マルティネスがヴォコーダーで「フジロック?」と語り、4つ打ちのビートが鳴り、他のメンバーも登場して「Ara!」から始まる。EDMなどのデジタルなダンスとレゲエやクンビアやパンクなどの肉体的なレベルミュージックが素直に同居しているのがドクトル・プラッツの特徴だ。
ギター&ヴォーカルのマーク・E・リエアが全体的にバンドを引っ張る。それにトロンボーンのギレム・ボルトがほとんどツインヴォーカルのように絡んでくる。ギレムとトランペットのラモン・フィゲラスを含めた3人がフロントマンとして煽りも上手いし、コール&レスポンスさせるし、お客さんたちを乗らせるエンターテナーである。
インディアンのような羽根飾りをつけたドラムのオリオル・コーズ、しっかり支えるベースのミキ・サンタマリア、フロントマンたちの振り付けにも時折参加するギターのジョセップ・ジュメ・レイが本当に楽しくステージを繰り広げる。
この巻き込む力は、数々の経験を積んだもののおかげだろう。余裕と上手さを感じさせる。アヴィーチーの「ザ・ナイト」のカヴァーなどの大技を前日と同じくぶち込んで、お客さんたちを沸かせる。ラストの「La Recepta」では、お客さんたちを一旦座らせてからジャンプさせ、一番の盛り上がりをみせた。最後にお客さんたちをバックに記念撮影してステージを去る。初日の1発目からピークを作ったバンドには惜しみない歓声が送られた。