LIVE REPORT WHITE STAGE 7/28 FRI

CATFISH AND THE BOTTLEMEN

ヘッドライナー顔負け!「動」を司る圧巻のライブ!

フジロックは、これからまだまだ続く。でも、もう今回のベストアクトはCATFISH AND THE BOTTOLEMENに決まってしまったように思う。ありきたりな言葉だけれど、本当に本当に最高のライブだった!
ホワイトステージという音響設備の整っている環境ということも関係あるのだろう。エネルギッシュな演奏がダイレクトに響き、自然と体全体を通じてリズムを取ってしまう。何より、常に動き続け、止まっている瞬間が一度だってないヴァン・マッキャン(Vo.Gt)のパフォーマンスに力強い歌。もうたまらない!たまに見せる、お茶目で好き放題な行動も愛らしいんだよなあ。キャットフィッシュがこんなに情熱的なバンドだなんてライブを見なければ気が付けなかっただろう。音源を聴いた後にライブを見た人は音圧と温度差を楽しみ、前情報なしに見た人も単純に満足できてしまうだろう。「ライブバンド」と呼ぶには相応しい圧巻の1時間だった。

SEであるDean Martinの“Ain’t That a Kick In the Head”が流れ、メンバーが登場する。一昨年2015年のフジロックは残念ながらキャンセル。こっちは、フジロックで見るキャットフィッシュを2年間もお預けにされていたんだ。「待ってました!」と言わんばかりの声が上がる。白く照らされたスポットライトは眩しく、メンバー全員の服装は黒くまとめられている。上下でのコントラストがクールだ。

まず演奏されたのは“Homesick”に“Kathleen”。ヴァンが歌い、ジョニー・ボンド(Gt)のギターがかき鳴らされる。ギターの音をただ一瞬聴いただけで、「ああ、今日は絶対にいいライブが観られるな」と確認する瞬間がある。そんな確信を持ったのが、この時だった。

“Soundcheck”に“Pacifier”、“Anything”と続いていく。演奏中は、ヴァンがステージの端から端まで余すことなく動き回り、何度も何度もマイクスタンドを倒す。もうハチャメチャだった。時に、マイクシールドに引っかかって転びそうになったり、イナバウアーのような恰好をしてみたり。情熱的なヴァンに対し、他のメンバーは冷静沈着で、その対比もおかしい。ベンジー・ブレイクウェイ(Ba)とボブ・ホール(Dr)の鳴らす重音圧を全身に浴びながらも、馬鹿でかい音の大きさは全くストレスにならない。むしろ、気持ちがいいくらい。その演奏に乗っかるコーラスの入り方が絶妙で、聞き入ってしまう。もう!どこまでかっこいいんだよ!

2016年にリリースされた『The Ride』から“Twice”、“7”が演奏され、最後を飾ったのは“Tyrants”。 何度も何度も「フジロック」という単語を発していたけれど、簡単なMCしかなく、常に走り続けるようなセットリスト。夢中になって見入ってしまい、「え?もうおしまいなの?」なんて思ってしまうほど、あっという間だった。

シンプルな構成であり、正統派UKロックンロールバンドであるCATFISH AND THE BOTTOLEMEN。音楽にも流行り廃りがあって、様々な音楽のジャンルが確立されているけれど、結局体の芯から惹き付けられてしまうのは、こういうシンプルなバンドなんだよなあ、なんて今になっては思う。
いやあ、有意義な時間の過ごし方をした。見ていて実に気持ちがよく、ヘッドライナーでもおかしくないくらいに熱の籠ったライブだった!

 Photo by 平川啓子  Text by あたそ Posted on 2017.7.28 19:00