ELVIN BISHOP’S BIG FUN TRIO
底なしの"楽しさ"を体現するバンド
本日の昼間のルート・セブンティーン・ロックンロール・オーケストラのステージでは、ゲストの一人として豪雨の後のグリーンステージでグルーヴィーな名曲“Rock My Soul”で盛り上げ、最大のヒット曲“Fooled Around And Fell In Love(愛に狂って)”でしっとりと感動で包んだレジェンド、エルヴィン・ビショップが最新のプロジェクト、エルヴィン・ビショップス・ビッグ・ファン・トリオとしてクリスタル・パレス・テントに再登場だ!エルヴィン(ギター、 ボーカル)、ウィリー・ジョーダン(カホン、ボーカル)、ボブ・ウェルシュ(ギター、ピアノ)の3ピースといういたってシンプルな編成だ。
ウエノコウジがザ・クラッシュの“Wrong ‘Em Boyo”やザ・ジャムの“Town Called Malice”などを投下しフロアを暖めた後、ボブ・ウェルシュの奏でるピアノの音が軽快に跳ねまる形で、エルヴィン・ビショップス・ビッグ・ファン・トリオのステージがはじまった。今年リリースされたばかりのアルバム『Elvin Bishop’s Big Fun Trio』のリードトラック“Keep On Rollin’”からキックオフ。ウィリー・ジョーダンがカホンから叩き出すタイトなビートに、エルヴィンによるキレッキレのカッティング・ギター。猛者3人が繰り出すブルーズ感満タンのブギーに身体を揺らさない人は一人としていない。
「こんばんはー!エルヴィン・ビショップてす!」とお得意の日本語でフロアとの距離を一気に縮める。ほんわかしたムードを醸成しストーンズのカバーで有名な“It’s All Over Now”(原曲はボビー・ウォマック~ヴァレンティノズ)へと続く。この曲ではウィリー・ジョーダンがボーカルを取る。2ギターから次々と繰り出されるいなたいフレーズに、思わず心の奥底から「かっこいい!」と叫んでしまう。これが粋なロックンロールってやつだよ。終始やられっぱなしだ。ブルーズを知り尽くした男たちがこんなにも楽しく演奏しているんだから楽しいに決まっているじゃないか!
中盤で「ギターもピアノも上手い!」とボブ・ウェルシュを紹介し、ブギウギなピアノソロをかますのだ。そこにウィリーの軽快なビートが乗っかってくる。笑顔で合図を取りながら、飛び交う音の塊たち。”ビッグ・ファン・トリオ”との名が示すとおり、音楽のもつ楽しさを思いっきり体現しているバンドだ。
そして、終盤で演奏されたのがエルヴィンの出だしのあのフレーズだけですぐにわかる“Fooled Around And Fell In Love(愛に狂って)”だ!ウィリー・ジョーダンがオリジナルのミッキー・トーマスを超える情感をもって歌い上げる。やっぱりいつ聴いてもこの曲は最高だ。エルヴィンが真紅のギブソンESで爪弾く泣けるメロディに胸いっぱいになってしまう。しかも前方を陣取っていたオッサンたちがなんともいい笑顔でノリノリで聴いているじゃないか!嬉しいなぁ。めっちゃ嬉しいなぁ。音楽は何歳になろうが楽しまなきゃなぁ。そんなことを感じさせてくれる最高のステージだった。
エルヴィンは明日29日(土)19時にヘブンに登場予定だ。今度は大所帯で“Born in Chicago”とか“Rock Bottom”といった往年の名曲をたくさんやるんじゃないかな。お見逃しなく!