PUNPEE
お嫁に行ってもいいですか
雨がパラパラと降る午後下がりの苗場。2日目のホワイトステージ2番手は、9月に待望の1stアルバムをリリースするジャパニーズ・ヒップホップMC、Punpeeだ。ヒップホップ勢は少数派のフジロックで、午後13:00過ぎで、しかも雨が降っているという環境だったにもかかわらず、ホワイトはPunpee待ちの観客でいっぱいだった。PSGとして、トラックメイカーとして、DJとして、多方面で活躍するPunpeeだけど、正直ここまで人を集めるほどの人気だったとは知らず、恐れ入ると同時に楽しみな気持ちも高まった。ステージに現れるなり、Punpeeが思わず「人すご!」と呟いちゃうほどホワイトは人で埋め尽くされていたのだ。これはもはや事件じゃないか。
コンビニで買ったっぽい半透明のレインコートを翻しながら、1曲目には加山雄三とコラボした”お嫁においで2015″をパフォーマンス。「ゆるく盛り上がっていきましょう」とMCを挟みつつ、リリックにフジロックならではのネタを混ぜてくるものだから、ゆるくどころか俄然ノリノリになってしまう。 “お隣さんより凡人”へと曲を続け、フジロックの観衆に軽く自己紹介。その後にDJ原島宙芳がドロップしたトラックは、先日ボーカルのチェスターが亡くなったという悲しいニュースが流れたリンキン・パークの”Numb”だった。 ひとしきりライムを乗せた後、Punpeeがチェスターに追悼の意を捧げたのが印象的だった。「僕もその世代だったんで、彼はヒーローだった」と話しつつ、みんながヒーローになれる曲をと”Hero”につなげた。当たり前だけど、ところどころアドリブを突っ込みながら続けるライミングが上手い。前半の盛り上がりは、DJ原島が選んだという世代のロックアンセムにPunpeeがラップを乗せたコーナーだ。ベックの”Loser”、レッチリの”Scar Tissue”、オアシスの”Wonderwall”と、DJ原島宙芳がドロップする大定番曲にPunpeeは「怒られないかな〜?」と慄いていたけれど、観客は嬉々として大合唱して、盛り上がっていた。それでも「次はちゃんとカニエ・ウェスト来るといいな」とかフジロックの歴史を抑えてライムに突っ込んでくるあたりグッとくるし、Punpeeの引出しの広さがたまらない。
後半は、「一人だと寂しくなってきました」とゲストフラグ立てたかと思ったら、実弟のS.L.A.C.K.、GRAPPERが登場!まさかのPSG勢揃いで”PSG現る1972″”愛してます”をパフォーマンスして、観客を歓喜させた。2人が去った後、S.L.A.C.K.においしいところを持ってかれたと悔しいがりながら、でも日本のラップでこんなにホワイトに人を集められたことがすごいと思う、と素直に感想を述べたPunpee。「俺はこんな髪型にメガネでとっつきやすいけど、他にももっとかっこいい奴いっぱいいるから」とジャパニーズ・ラップをアピールした。ラストは名曲”Renaissance”でホワイトステージを盛大に盛り上げて、ライヴを締めくくった。「ありがとうございました!」と言ってステージを去りながらも、「ありがとうが言い足りねえ!」と戻ってきたり、好感度は上がりっぱなし。あやうく惚れてしまうところだった。ツイッターのトレンド1位を獲得するほどの話題っぷりで、ホワイト2日目のダークホースだったと言ってもいいのかも。とりあえず9月の1stアルバムが楽しみで仕方ない。