THE MARCUS KING BAND
ブルース・ロック界期待の新星、フジロックで初来日!
今年のフジロックにおいて、ブルース・ロック好きに注目の時間がやってきた。それはマーカス・キング・バンドと、その次のエルヴィン・ビショップだ。後者はおなじみだが、前者はまだ知らない人もいるかもしれない。なぜなら2015年にインディ・デビュー、2016年にメジャー・デビューしたばかりの新人ブルース・ロック・バンドだから。メジャー・デビューのスピードはもちろん、来日も早いというブルース・ロック期待の新星、この機会に、観ないわけにはいかない!事前に彼らの情報を聞きつけたフジロッカーたちが、フィールド・オブ・ヘブンに集まってきた。
ステージに登場した彼らは、ステージ左側から、マット・ジェニングス(org, key)、マーカス・キング(vo, g)、ジャック・ライアン(ds)、スティーブン・キャンベル(b)、ジャスティン・ジョンソン(tp, tb)、ディーン・ミッチェル(sax)。このバンドの中心、マーカス・キングは、大きな帽子にサングラス、赤茶色の長い髪と、印象的なルックスだ。その中性的な顔立ちから、女性との噂もあるが、男性である。
1曲目の“Virginia”が始まると、マーカスの歌声に驚く。しゃがれていているような、ザラザラとした声質。シャウトも渋くソウルフル、ああカッコイイ!やがて、なめらかな指使いでギターソロに突入すると、素人目で見てもわかるくらい、熟練されたテクニックを炸裂。“Keep Moving”におけるディーンのサックスソロもまた、高速のトリル、ロングすぎるロングトーンで会場に歓声を巻き起こす。どのメンバーも個性的なプレイをするのだが、しっかりとマーカスの演奏を引き立て、マーカスのギターソロへつないでいく。なんて頼もしいバンドメンバーなんだろう。
その後、なんとゲストとして、エルヴィン・ビショップが登場。マーカスの隣でギターを構え、マーシャル・タッカー・バンドの“this ole cowboy”をセッション。誰もが緊張しそうなレジェンドとの競演に、緊張している様子もなく、自分らしいギターの音を探り、鳴らしていくマーカス。お互いを高め合い楽しくセッションする姿は、とても微笑ましかった。そしてそのまま“Rita Is Gone”、“Plant Your Corn Early”で惜しまれつつ終了。確かな存在感と、どっしりと構えた安定感あるサウンド。それでいてマーカス・キングは、まだ21歳だというので、驚くことばかりだ。ブルース界期待の新星、これからの活躍も楽しみである。