ELVIN BISHOP
名ギタリストは現場に戻る
開始時間2分前から演奏がスタート。ゲストなど含めると今回のフィールド・オブ・ヘブンでのライブは3回目の出演となる。常連と言っていいほど、何度も出演しているというのもあり、観ているこっちだって、どうしても期待してしまう。
まずは、ピアノの音が気持ちよく響く”Party Till the Cows Come Home”から始まる。ステージ上には、エルヴィン以外にギター、トロンボーン、ベース、カホン、ピアノ、ドラムのメンバーがそれぞれの音を奏でている。
「エルヴィンが歌っているのか!?」と思いきや、ドラムを器用に叩きながら、美しすぎる歌声を披露するサポートドラマー。軽やかですっと通る歌声はただのドラマーにしておくのににはもったいないくらい。後の話になるが、トロンボーンとカホンの人の歌声を聴くことできる時がある。まあ、主役級に上手くて、驚く。
“No more Doggin'”、”That’s My thing”では、キーボードのメンバーがアコーディオンに持ち替えて綺麗な音色を聴かせてくれる。各々がこの日のステージや演奏を心から楽しんでいるのが、余裕の見えるサウンドに反映されていのがよくわかる。陽気で明るい音に惹き付けられて、どうしても笑顔になってしまう。うなるギターソロに、身体の芯の部分に深く突き刺さるドラミング、演奏全体のよいスパイスになっているトロンボーン、夕暮れ時の暗くなったフィールド・オブ・ヘブンを一層ロマンチックな場に変化させるアコーディオン。それぞれの楽器が魂を持ち、会話を楽しんでいるようにも聞こえる。
大の親日家というエルヴィン。MCでは、得意の日本語で挨拶を。「こんばんは!僕の日本語はあまりよくないけど、頑張ります!」「2015年に、ここに出ました。日本語でも“犯人はいつも現場に戻る”という言葉がありますよね。」という発言で、一気に場を和ませ、距離もグッと近くなる。言葉のチョイスだって、なんでそんな日本人もさほど使わないような言葉を知っているんだ!絶妙だよ!
“Gettin’ My Groove Back”では、なんと!ELVIN VISHOPの直前に演奏を終えていたTHE MARCUS KING BANDから、若干20歳の天才ギタリスト、マーカス・キングがゲストで出演。エルヴィンもゲストとして出演していたのだから、予想していた方も多かったのではないだろうか。こういったゲスト出演があるのも、フェスの見どころだったりする。
演奏は、もうご想像の通り。まあ、素晴らしかった!丁寧に一音一音弾かれた、跳ねるようなギターサウンド。ゆっくりとしたテンポに合わせて、この瞬間だけ時間の流れが遅くなったようにも感じた。もう、ずっと聴いていられる。なんて贅沢な時間の使い方をしてしまったんだろう。
“Old School”や“Fooled Around and Fell In Love”などでも、底なしの楽しさを見せつつ、最高のショーをしてくれたメンバーにアンコールを求める大きな拍手や歓声は、いつまでたっても鳴りやまない。
アンコールには、“Hey Bop-a-ree-Bop!”。もう飛んだり、跳ねたりの大騒ぎだった!アンコールだって終わったのに、拍手も歓声も一切鳴りやまない。ライブが始まった時点ではお客さんの数も少なかったのに、気が付いたら超満員。演奏が終わってからも拍手と歓声が鳴り止まないのが、楽しさの証明というか、長年活動を続けてきたエルヴィンの貫録・経験の力、そして音楽の力なんだろうと思う。