LIVE REPORT RED MARQUEE 7/30 SUN

MAGGIE ROGERS

オーディエンスの見る目を変えた新星SSW

アメリカ、ニューヨーク州ブルックリンを拠点とするプロデューサー兼ソングライター兼パフォーマーである、マギー・ロジャース。彼女が注目されるきっかけとなったのはメジャー・デビューシングルである“Alaska”。この曲を聞いたファレル・ウィリアムスが思わず涙したという。そんな話題性もあり、レッド・マーキーには多くのフジロッカーが集まっていた。

定刻通りに始まったライヴは、メジャー・デビューEP『Now That the Light Is Fading』収録の“Color Song”からスタート。この日のセットリストはインディーズでリリースしたアルバムと、メジャーリリースしたEP、それらを中心に構成されたセットリストで、序盤のあまりに強いバック・ビートに驚きを抱きつつ、ライヴ終盤にはさらなる驚きの展開が待っていた。EP収録の“Better”をダンサブルにパフォーマンスしたあとに演奏したのは、なんと、ニール・ヤングの“Harvest Moon”。しかもオリジナルのアレンジとは180度異なる、ミニマム・エレクトロ・ポップなアレンジだ。「これ、ニール・ヤング怒ってないだろうか?」なんて要らぬ変な心配をしつつも、自分も含め周りのオーディエンスはミニマルなビートを体で拾いながら踊ることを楽しんだ。

そんなびっくりカヴァーが終わり、EP収録の“On+Off”へと移行。ドラムマシーンを叩きながら歌い、コンテンポラリーなダンスでステージ上を緩急つけながら踊り歩く。そのパフォーマンスにオーディエンスは大いに盛り上がった。すると、曲終わりと共にオーディエンスからの大きな拍手が!ずっと鳴り止まないこの大きな拍手に、マギーは思わず涙ぐんでいる様子だった。そんなオーディエンスへのマギーからの感謝の言葉「アリガト(震え気味)」。こんなに気持ちのこもった「アリガト」は初めて見た気がする。ライヴの最後は彼女最高のアンセム“Alaska”歌いきり、日本で初めてのステージを終えた。

今回、このレッドでのステージを見て、彼女に対する印象がポジティヴに印象がガラッと変わった。サウンド的な部分では、想像以上にエレクトロな要素の重みが凄かったというところ。まるでトム・ヨークのようにビートを体でもれなく吸収しながら吐き出すことで生まれるパッション。そして、ボン・イヴェールやジェイムス・ブレイクのような、唄やメロディをより際立たせるための手段としての編曲。そんなポテンシャルを持った彼女は今後どう言った方向に進んでいくのか、今後も期待せずにはいられない。

<セットリスト>
Color Song
Split Stones
Dog Years
Resonant Body
Say It
Hashtag
Little Joys
Better
Harvest Moon (Neil Young cover)
On + Off
Alaska

 Photo by 古川喜隆  Text by 若林 修平 Posted on 2017.7.30 14:00