T字路s
妙子姐さん、一生ついて行くッス!
前夜祭での2人編成、そして前日に深夜のカフェ・ド・パリスで行われたバンド編成、共に魂の震えるライブを見せてくれたT字路s。
何度もフジロックに出演しているとだけあって、どこかでたまたま聴こえてきた伊東妙子(Vo&Gt)の声に惚れ込んでしまい、フィールド・オブ・ヘヴンにまで駆けつけた方も多いはず。
リハーサルの時点で、本気すぎる演奏。本編に対する期待が、更に高まってくる。
まずは、伊東と篠田智仁(Ba)の2人で登場。「雨が降っても、止んでいても、楽しいね!」という伊東。そうなんだよ!フジロックだもん。雨が降っていても音楽と酒があれば、楽しく過ごせる……はず!今年はちょっとひどすぎたけど!(笑)
まずは、名曲“泪橋”。力強くうなるような、伊東の唯一無二の声はいつどこで聴いても最高!声を張る度に観客は声をあげ、会場全体が徐々に温まっていく。「妙子姐さん……!」なんて尊敬のまなざしを向けながら、アルコール片手に聴き入りたいところ。
ここで、サポートメンバーが登場する。カンザスシティバンドから上山実(Key)、ブルームーンカルテットから黄啓傑(tp)、ハンバートハンバートから佐藤良成(Gt.Vn)、そして、西内徹(Sax)の計4人が、順に位置に着き、“交差点”のイントロが始まる。
佐藤の奏でるバイオリンの音色が心地よく、偶然飛んでいたたくさんのシャボン玉がヘヴンの雰囲気と抜群にマッチしていたように思う。
次に演奏されたのは、ベッシー・スミスの名曲“Send to me the electric chair”に伊東が和訳を付けたもの。タイトルをそのまま解釈すると「私を電気イスに送ってください」というもの。惚れた男を殺してしまった女の歌だった。往年のブルースのよさを取り込みながら独自の解釈で消化している。「さっさと電気イスに送ってくれ!」なんて恐ろしい曲を、勇ましくあっけらかんと歌う伊東。これは沁みるよ~……。
“はきだめの愛”やカンザスシティバンドのカバー“新しい町”、“これさえあれば”でもバンド編成ならではの表情豊かな演奏が光る。古きよき昭和時代を彷彿とさせるブルースに基づいた曲の数々は、どんな人にでも底なしの楽しさを与えてくれる。
最後の曲は、“T字路sのテーマ”。時にはうなる、篠田のベース。篠田に負けないくらいに各パートがソロパートを披露していく。歓声と拍手が起こって、大盛り上がり。最後はやっぱり、妙子姐さんのターンでしょう!ひとつ高い台に乗り、足を大きく広げ、堂々と勇ましくギターのメロディーを弾き切ったのだった。
MCでも「私、強烈な晴れ女なんですよ!」と話していた伊東。雨だった天気も晴れにしてしまうし、会場全体を盛り上げ、たちまち笑顔にしてしまう。妙子姐さんについて行けば、もっと楽しい光景が見られそうな気がする。