LIVE REPORT Café de Paris 7/30 SUN

SHAMANZ

「オルタナティヴ」とは「型にはまらない」こと

SHAMANZは神奈川県を中心に活動する7人組で、国籍もバラバラ。ネイティヴな英語と日本語が同居する、アコースティックな音作りをしながら、フラメンコ寄りのラテンに、レゲエやスカ、そこに即興を交えた、独特なバンドだ。様々なジャンルを縦断した、「オルタナティヴ」な存在だと言える。メンバーはホテルの箱バンや、セッションミュージシャンの集まりで、そのテクニックは折り紙付きだ。

サウンドチェックでは、THE POLICEの「Roxanne」をラテン風味で演奏した。この曲は、彼らがロングセットのライヴをやる際にカバーされる曲だ。朝の1発目かつ開演予定時刻前、さらに最奥地ということもあって、フロアの人影はまばら。それでも、70年代後半を代表する曲とあって口ずさむ者もおり、リハーサルながら拍手も沸き起こっていた。おそらく、テント内にいる人間にとって、SHAMANZは初見。つかみはOKだ。

本編は「Tomato」から始まった。元は内田ボブの楽曲だが、SHAMANZのミニアルバムにも収録されている。爽やかさと熱気を同居させたアレンジでポップさを加味し、踊れる音に仕上げている。SHAMANZは、どこを切り取っても独特。リズムの屋台骨を支えるマイクのドラムは、ゆったりとしたリズムを叩きだす際に、絶妙なタメを作る。BPMをあげれば、タム回しの合間にカウベルへのショットを挟んでくる手数の多さで、アクセントとインパクトを盛ってくる。そこに、キューバ出身のパーカッショニスト、ジョアンが絡み、さらには、5、6弦のみをベース弦に換装した、通称「変態ギター」の使い手、カイが合わせていく。「ベースが居ないのに、ベースが鳴っている」という摩訶不思議現象はカイの仕業だ。

続いては「Salaryman Ska」。冒頭、ヴォーカル&ギターのタマが奏でる、演歌のような爪弾きでひとつ、「おっ?」と思わせることに成功。サラリーマンの悲喜交々を歌ったこの曲は、遊びに振り切れない日本を代弁しているのだが、遊びの極致とも言えるフジロックで鳴っているのがどうにも可笑しい。この日のパーカッションはサポートなのだが、遠慮のないアドリブを重ね、他のメンバーがニヤリと笑ってしまうほどだった。トランペットのライアン、サックスの西本康朗、表情豊かにシンセサイザーを操るナオトなど、ウワモノを担当するメンバーも、他を出し抜くかのようなアレンジで、ジャムバンドのような香りもある。

低音が強く出ている点は少し残念だったが、初のフジロック出演に気負う事なく、場をフックしたのは見事のひと言。それを如実に示していたのは、テント内に溢れるオーディエンスの数、ステップ、そしてその表情だ。ラストの「Nanzenkai」に至るまで、存分にSHAMANZというバンドの魅力を伝えられたのではないかと思う。今は無名かもしれないが、初見の者を虜にする力量は他の追随を許さない。彼らほどフェスに似合うバンドはそうそういない、などと改めて思い知らされたのだった。

Tomato / Salaryman Ska / Yami Yo Kiero / Sobaniite / Sand Castle / Taiyo / Nanzenkai

 Photo by 岡部智子  Text by 西野タイキ Posted on 2017.7.30 13:00