ASA-CHANG&巡礼
一日目の一発目から、涙
曇天のピラミッド・ガーデンは涼やかだった。初日の朝一からヨガ・ワークショップで気持ちよ良い汗をジワリと流した人たちが、過ごしやすそうにチェアに腰掛けたり原っぱに寝そべったり。まったりとした時間が流れる中でセッティングされるASA-CHANG&巡礼の舞台。程なくしてAM10:30、3人が今年も苗場にカムバック!リーダーのASA-CHANGは背を向けながら。「アオイロ賛歌」はピーパピパピパと声がリピートされる。もちろん“よくわからないマシーン”は堂々と後方中央に鎮座。そんな幕開けすぐに女性コンテンポラリー・ダンサー菅尾なぎさが音にはめ込むようにカクカクとした舞を無表情で踊りきる奇天烈な苗場の朝…。なんなんだ、このゆるい空気の中で流れるドキドキとした緊張感に包まれた亜空間は!
続いて「まほう」。コラージュのようで脈略は確かに存在する女性の語りに、電子音とユニゾンする鍵盤と管弦楽。さっきまでサックスやフルートを操っていた後関好宏氏がメインのボーカルをとって見せるなど、3人という小編成の中でユーモラスでコミカルな異空間を演出。「苗場の山の中に、海を持ち込みたいと思います」とASA-CHANGが平静に宣言すると、波の満ち引きと男性の断末魔の絶叫がスピーカーの台座を覆う黒いビニールを振動させ、同時にピースフルなリスナーの心もざわつかせた。いやぁ震えた!かと思えば海女さん?のコスチュームに着替えた菅尾なぎさが草原のフロアに現れて縦横無尽に跳ねまわり、やがてステージ上に登ったかと思えば後関氏と二人仲良くダンスタイム。なんともシニカルだけど心地よいワルツが苗場の山の中に、確かな「海」を流し込んでいました。
その絶叫のフィードバックを感じながら名曲の「花」で強烈なビートと、熱に呼応するように上下するBPMに固唾を吞む場面も。最後は「告白」。キーボードを担当する小田朋美嬢がボーカルをとり、一人の女性の一生を淡々と、切なくも力強く紡いでいく様は涙腺を崩壊。歪(いびつ)な音、だけど底の見えない美しさの連続に、ただリラックスして耳をすますフジロッカーたちの受け入れる姿。フジロックフェスティバル2017の幕開けにふさわしい、自由かつ、繊細で非凡な時間を体感できました。
本日PM14:00からASA-CHANGによるワークショップ「ASA-CHANGとタイコで遊ぼう!」が開催されるが、絶対楽しいだろうなー!