ヤシの木フラミンゴ
「音楽最高!!!!」と叫ばずにいられないシークレットライブ
意外な展開、ハプニング、番狂わせ、予想外のできごと……とにかく予定調和に終始しないことでおなじみのフジロック。この苗場食堂におけるヤシの木フラミンゴのパフォーマンスだってそのひとつだろう。彼らはバンド名のボツ案のひとつを名乗ってシークレットで現れた、never young beachだ。
今年めでたくメジャーデビューを決め、フジではレッドマーキーで堂々のステージを繰り広げた彼らは、2015年のフジ初出演時と同じステージにも顔を出し、初期曲で固めたセットリストを展開した。名前は隠せてもその声、そのサウンドはどうしたって明らかで、ステージにはあらかじめ嗅ぎつけていたファンだけでなく、オアシスエリアを歩いていたフジロッカーも「もしや?」と引き寄せる。その上、活況を眺め「なんだなんだ?!」と足を運ぶ人まで増える一方で、しまいには苗場食堂付近からオアシスエリアのほうにまで広がるのではないかというくらいのにぎわいにつながっていった。
だがこのステージのトピックは、バンドの異常なまでに高いボルテージにこそある。思い出の地、ラスト、そして抜群のオーディエンスの反応など諸要素からなのか、彼らのパフォーマンスはどんどんワイルドさを増幅し続けた。MCで安部勇磨(Vo, G)が「あの頃みたいに楽しくやろうぜ!」と言って始めた「あまり行かない喫茶店で」「どうでもいいけど」のテンションは彼の「音楽最高!!!!」という絶叫の通り、最も高いテンションでこのステージのハイライト、を描いたはずだった。演奏後に“ヤシの木フラミンゴ”は「新曲です」と言ってネバヤン「fam fam」から「明るい未来」と、先日はプレイしなかった「お別れの歌」まで披露したではないか。しかもそれでライブが終了したかと思えば、アンコールまで。彼らは細野晴臣「恋は桃色」をカバーして大興奮のショウを完遂した。
終演後、安部は「もっともっと大きくなってまた戻ってきたいです」とTwitterに書いている。これ以上どうしようというのか!ネバヤンがどんな存在になっても、ヤシの木フラミンゴはまたこの苗場食堂に戻って最高を更新してほしいと切に願っている。