まだゴンちゃんをもっていかないで
小さな子どもたちは未来の僕たちです
ゴンちゃん誘拐のことについて既に他のスタッフも記事にしているし、オルグのSNSでも注意を促していますが、僕も少し思うことがあるので写真と一緒にエキスプレスに残すことにします。
日曜日の昼、ところ天国の川で一日だけ遊びにやってきた家族と話す機会があった。その家族は初めてフジロックに来たそうで「フジロックに行こうと思ったきっかけは何ですか?」と尋ねると「自然の中、会場の雰囲気がとても良いと聞いたから」と答えてくれた。そして、川にほんの数体残っているゴンちゃんを指差して「会場に入る前に目が描かれている大きな石があるじゃないですか、あれがとても可愛くて、大きな石の上に乗って子どもの写真を撮ったんですよ。川にもいるんですね。」と笑いながら話した。
僕は、その石はゴンちゃんと呼ばれていること、多くの人に愛されているアート作品であること、そして日曜日の夕暮れ以降に持ち帰ることができると説明した。「でも、あんな大きな石どうやって持って帰るんでしょうね?」と子連れの家族は苦笑いする。川で遊び終えた子どもも、濡れた足をタオルで拭いてもらいながら、ゴンちゃんと一緒に写真を撮ったり遊んだことを嬉しそうに僕に報告してくれた。
本来ならば、川の中にはもっとたくさんのゴンちゃんが残っていて、多くの子どもたちが一緒に遊ぶ姿を見ることができるはずだ。昨年もゴンちゃんが少ないという注意喚起の記事がアップされた。だが今年も状況は全く変わっていない。変わっていないどころか、更に悪くなっている。
そのことを家族に伝えると「初めてやってきて、子どもも安心して遊ぶことができるフェスティバルだと感じたのに残念ですね、何か協力できることがあれば」と言ってくれた。そこで撮らせてもらったのがこの写真だ。
持って帰った人の中に「日曜日の夕暮れ以降に持って帰っても良いと知らなかった」という言い訳をする人もいるかも知れない。だが、そもそもフジロック会場内のアートを持ち帰る行為が間違いだと思わないのだろうか?つまり、故意犯なのではないか、と思わずにはいられない。
僕は(恐らく)フジロックで一番安らげる空間、ところ天国の川で小さな子どもたちがゴンちゃんと遊ぶ姿を見たい。もっともっとたくさんの人の笑顔を写真に収めたい。ただ写真が撮りたいから、ということではない。その姿はきっと僕らを癒やしてくれるはずだから。
小さな子どもたちは将来の僕たち。
こっそりゴンちゃんを持ち帰って行った故意犯が、この写真を見て、文を読んで胸を痛くすることを僕は強く求めます。