これは効きそうだ
バイクが空を飛んだり、お姉さんが空を飛んだり。(どういう状況だ!)そんな奇想天外なショーはもちろん、世界一美しいと称されるテントでスペシャルなライヴが見られたり。しかも場外だけお代はタダときた。フジロック開催期間中だけ出現する不思議な場外エリア、パレス・オブ・ワンダー。今夜も巨大な金属のオブジェが、私たちを呼んでいる。
そんなエリアの一角に、オーディション形式の新人登竜門ステージ、パレス・オブ・ワンダーがある。今年からはさらに、人気投票で選ばれた一組が、来年のメインステージいずれかに出演することが決まっている。目指せ! ヘッドライナー!
と、思ったら。きたよ。毎年ルーキー・ステージにはパレスの雰囲気に負けず、ストレンジなライヴをやらかしてくれるバンドが出現する。これが密かに楽しみだったりするのだが……。
「野外フェス、タノシイデスね。思っていたよりも、三倍タノシイ。」
不安定な目つきと素振りで朴訥と語るのは、フジロック初日のルーキーステージに二番手で登場した、空きっ腹に酒の唄と詩担当、田中幸輝。ジャンル分け不能のオリジナルダンス(前衛舞踏風味)を展開し、苗場の雨を浴びて、時に全身から湯気をたててステージ上でその場スパーク。演奏は性急なファンク(パンク?)で重みとエッジはかなりのもの。歌詞も良く聞けば面白いし、そこまでパフォーマンスしなくても充分にインパクトありそうなのに、ホドホドにしない……のがルーキーバンドの醍醐味なんだな。
来年フジのメインステージに立つとしたらどこが似合うか、妄想しつつ見る。ホワイトステージで大暴れして貰うなんてどうだろう。うーん、バンド名同様、これは効きそうだ……。
写真:中島たくみ
文章:小田葉子