渋い黒スーツの男たちあらわる
2日目のしょっぱなは8人組のキング・コロンビア。ハットに黒スーツ、マット感のある金管楽器などなど、イナタさぷんぷんの雰囲気に「この人たちは本当にルーキーなんだろうか?」と疑ってしまうくらい貫禄ある出で立ちに期待は膨らんだ。
大阪を拠点に活動を広げる彼らの音楽は1930年〜1940年代からのスウィング・ジャズを基本としたダンサブルサウンド。気持ちのよいウォーキングベースが鳴ると、軽快なリズムに吸い寄せられ、宿に帰ろうとしている通りがかりの人たちの足を次々と引き止めていた。
「ロックちゃうけど、ジャズやけどええかな?」なんて心もとないMCも問答無用。「イエー!」と応えるお客さんの声、手拍子しながら自然と踊り出してしまう人たちの姿、これがルーキーステージのリアルな反応なのだ。「堅苦しい」とか「排他的な」といったジャズにありがちなイメージを取っ払って、ジャンルレスに間口を広げてくれるバンドこそ苗場の新たな顔として相応しいのではないか。
写真:岡村直昭
文:千葉原宏美