クリックすると写真が切り替わります朝焼けのエレクトロに酔う
もうすぐ夜が明け始める午前三時。タフなフジロッカーはまだまだパワフルに楽しんでいる。ここはフジロック場外に位置する、まさに不夜城エリアのパレス・オブ・ワンダー。この場所の一角に存在するオーディション式新人登竜門ステージ、それがルーキー・ア・ゴーゴーだ。
フジロック二日目、少し遅れて最後に登場したのは、ZeZeZaZa。サウンドチェックが少し押していたのだけれど、すでに気持ちいい音出してる！ ボーカル＆ギターのShun K.D.にベース＆キーボード＆エレクトロニカ担当のBaku－san、ドラムのShunji Onishi。ミニマムな編成ながら、本編のライヴがスタートすると、演奏はますます広がりを見せた。
今年のルーキーステージは、横のブースに投票箱が置いてある。これは今年の出演者を対象にお客さんによる投票を行って、一位となったルーキー・アーティストに来年のフジロックのメインステージいずれかが用意されるという、夢のような企画。オレンジコートのダンスタイムでもジプシー・アヴァロンのまどろみのひとときでも、開放感あふれるホワイトステージでも、独特の響きが満ちるレッドマーキーでも。彼らなら、きっと美しくハマるとみた。
「こんな早くからありがとうございました！ おはようございます！」
空がうっすらと白んできたライヴ終盤、最後の曲を終えると、ボーカルのShun K.D.がこう言って挨拶した。投票箱を指してもし良かったら......とお客さんに言いかけつつも、九州の人間なんで、上手いこと言えんですよ！ と照れてみせた。そうか、単なるエレクトロと違う、どこか人間の血が通ったような暖かさと心地よさは、この九州っ子の純情がスパイスとなっているからかも知れない。
写真：岡村直昭
文章：小田葉子
