ニューオーリンズに対抗せよ!
炎天下のホワイトに登場したのは、デトロイトのファンク集団、THIRD COAST KINGS(以下、TCK)。白、黒、黄色と、様々な人種が混じり合ったバンドだ。旧き良き時代の7インチに塗り込められた、正統派ファンクのマナーにのっとり、小気味よいショットとうねるベースラインの上に、ずぶといホーン隊が相乗りしてくる。
今年のフジには、DIRTY DOZEN BRASS BANDやGALACTICといったニューオーリンズ勢のファンクバンドが名を連ねているが、TCKが巻き起こした土煙しかり、いたるところからオーディエンスの咆哮を見ても、もはや同格と言えるものではないだろうか。
いくつかのインストを繰り出してから、ヴォーカルと煽りのショーン・アイクが登場すると、火に油を注ぐ状態に。その黒光りするスキンヘッドと首筋にはたくましい血管が浮き出ている。ベルは身を絞るかのように叫び、煽り、その声は耳のみならず、筋肉そのものに呼びかけてくるかのようだった。
この先には、日本のファンク代表として、MOUNTAIN MOCHA KILIMANJAROが控えている。今年のフジロックは、ファンク好きにとってはかなりの豊作なのだ。
写真:深野輝美 文:西野太生輝