GREEN STAGE, | 2012/07/27 18:55 UP

GOSSIP

ゴシップがフジロックに出演するのは、今年が2回目で、晴れの夕暮れで苗場の稜線が影絵と化してきた。この時間帯はどのステージも照明が映え、フェスの醍醐味を感じさせてくれるのだけれど、今日のようにこんなにも清々しい晴れの日のホワイト・ステージの格別さったら。ゴシップと言えば、バンドが認知されかけた頃には、巨漢のベスという形容詞や、NME雑が選ぶ「最もクールな人」に選ばれたという話題性や興味が飛び交い、話題が話題をさらに呼ぶという典型的な一発屋感を予感させていた。そんなまっただ中の2008年にフジのレッド・マーキーには、その真相を確かめるべく集まった人たちで溢れ、ゴシップの本気に打ちのめされるのであった。

さて、それから月日が流れはや4年、ゴシップは再び苗場に戻ってきた。ヘブンやオレンジへ向かうための通路へも人が溢れていていた。それはこの4年の間に、周りの勝手なゴシップ像を暴走させない部分での勝負に勝ってきたからなのだ。やっと本来のゴシップと、ゴシップの音楽そのもの、バンドそのものの本質的な面がイコールになったということなのだ。がっぷりよつなバンドとオーディエンスとの真っ向勝負が始まった。

今日のベスはショート丈のちょっとキラキラしたワンピースをさらっと着こなし、いい女っぷりが半端ない。ああいう女性こそを本当のセクシーと表現してもいいのじゃないか?適度を超しているのかもしれないけれど、あのふくよかな曲線の艶かしさは、苗場の空に突き刺さるようなどストレートな聞かせる歌声の原動力となり、オーディエンスを煽る、煽る。もちろんゴシップの曲を歌うのもいいのだけれど、マリーナ・ショウのようなパンチの効いたソウルを歌ってみてはくれないだろうか。歌姫というと軽々しく聞こえてしまうかもしれないけれど、本当の歌を聴かせられる声の持ち主、ベスこそが、本当の歌姫なのだ。歌姫は自分の曲を独り占めなんかせずに、オーディエンスにもレスポンスを求める。当然オーディエンスも歌姫のオファーに答えて、はい合唱。

さてさて、ゴシップは彼女だけで成り立っているバンドではないので、あしからず。そりゃ、アナタ、あのベスの存在感、あの声量の圧倒さは揺るぎないということは間違っていない。ただ、ベスの存在感を存分以上に際立たせているのが、ブレイスであり、ハンナであることも再確認させてくれた。ドラムからはタイトに刻まれる正確な四つ打ちに、ベスのうねりを持たせたヴォーカルが乗ったり、逆に、どストレートなキレのあるベスの歌声に、ベースとドラムが逆グルーブの心地よさを発生させたりと曲ごとに表情の違いがゴシップのバンドの幅を感じさせてくれるライブとなった。あぁ、ベスよ、アナタはそのままでいてください。ふくよかでありながら、美しさを兼ね備えた歌姫でいてください。


写真:深野輝美 文:ヨシカワクニコ
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