ルーキーに響いた「青」の衝撃
初日のヘッドライナーも終えて、そろそろ寝るか…なんて考える人が増えてきた深夜2時。パレスオブワンダーの一角、ルーキアゴーゴーに響き渡ったのは、そんな眠気もどこかにいくような疾走感だった。大阪からやってきた3ピースバンド・NOA。向かって右側のツモトアキ(ギター)と、ニシウラシュンスケ(ベース)のツインボーカルに、イシザカユウ(ドラム)の3人から成るエモ・メロディックパンクバンドである。
透明感のある音色を一音一音を爪弾きながらの始まりは、一間を置いて一気に爆(は)ぜ、そのまま勢いを疾走に変えてルーキーのスピーカーをガツガツと震わせた。細身の体をしならせながら、右から左を楽器とともに縦横無尽に跳ねてはその反動で弦を鳴らすかのようなフロントの二人。声はビブラートを震わすツモト、そして咆哮の響きが猛るニシウラと、ツインボーカルならではの個性もあり、それが曲ごとに入れ替わるユニークさもこのバンドの特徴だろう。そしてそれを受け止めるイシザカユウのドラムはリズムと手数の種類で支え、音の疾走に対し表情を豊かにする。単調になりそうなジャンルの音だが、フォーカスを当てることで緻密さに気づく。
「(僕らは)こんな感じです。この場でたくさん感じてみて帰ってください」
言葉少なのMC、曲に転じて一転激しくなるアクションーそれらに照明の青が映えて見える。若い躍動と咆哮の刹那がルーキーというステージにふさわしくも見え、これがより広い空間に響いたらどれだけの景色になるだろうという想像すら始まる。
30分あまりの時間は、とても短く感じた。この青が、これからどんな変化を伴っていくのかという期待が、初見となる私に生まれた感情だ。
写真:八尾武志 文:ryoji