ダンスマシーン、今年も苗場を席巻
サカナクションのあたりから、文字通り溢れきっているような人数のフジロッカーズは、待っていた。このホワイトステージのヘッドライナーを務めるあの十字架の二人組を。遠くから聞こえるブリティッシュロックのスターの音を聴きながら開演を待った。
時間とともに、ファンにはお馴染みの登場演出が展開される。照明と電飾、そして計18台のアンプと機材でデコレーションされたステージセットに、光り輝く十字架。スポットライトに照らされてセット中央からせり上がってくる二人の姿が見えると、それがまるでスイッチがONになったかのような盛り上がりのきっかけとなった。
サウンドはまさに、いかにも、ならではな具合にJustice。レゾナンスの効いたアナログシンセ大活躍なエレクトロサウンドを全面的に展開し、波のように断続的に強弱をもって押し寄せる電子音を叩きつけてくる。その盛り上がりたるや、いかに彼らの音が彼らをとりこにし続けてきたかが分かる。
選曲は傑作『Cross』も『AUDIO,VIDEO,DISCO』も分別なくプレイされた。リミックスを加えられた”The D.A.N.C.E.”は相変わらず無邪気に心躍るものとして活躍し、一部では変化に戸惑いを与えたという声もあったセカンドの”HorsePower”だってフロア仕様に再構築され、おそらく違和感などその享楽の中で蒸発していたに違いない。
あっという間に本編を終え、アンコールも披露。再び背景すべてを映像に換えたステージ、両サイドのアンプはパチンコ屋のようにくるくる順繰りに光り、いくつもあるライトが、霧がかった会場のあちこちに直線上の光の線をえがいていく。そして”NY Excuse””Phantom Pt.2″といった「そういやまだ聴いてなかった!」的な驚きも手伝いつつの延長戦な盛り上がりにて終了。ホワイトステージから帰れるかどうか不安になるぐらいに体を踊りに浸してしまった…と私が気づくのは、半ば強制的にスタッフが余韻を断ち切ってからのことだった。
JUSTICE
写真:古川喜隆 文:ryoji