真夜中に心地いい、ダブサウンドが充満
今回のルーキー出演の中でも唯一、生粋のダブ・バンドが登場した。しかも彼らは、平均年齢が20代前半という異能の4人組であることには、驚きだった。結成から3年ほどの活動の間には、Likkele Maiとの共演を果たしていたり、今年5月に発売されたフルアルバム『meteorite』ではLittle TempoのHAKASE-SUNをプロデューサーに迎え制作しており、日本のレゲエ・ダブシーンの階段を順調に上ってきている。
編成は、ドラム、ベース、キーボード、ボーカルそしてサポートメンバーがギターを担当する。ドラムス高橋とベース小林からなる、ずんずんとどっしりとした安定的なリズムに、空気感のあるリバーブ音がのると、たちまち会場はダンスフロアと化す。音に吸い寄せられて集まってきたのは、MUTE BEAT、DRY&HEAVY、FISHMANSなど若かりし時にレゲエやダブサウンドに浸ってきた30〜40代が多いように見られた。
Tam Tamから目が離せなくなるのは、なんといってもフロントに立つ美女、黒田さとみのベールのようにたゆたう声にある。ダブのリズムに、親和性を持ちながらもしかっりと意志をもった伸びのあるボーカルのおかげで、音に身を任せ、心地よさを味わううちに、あっという間に30分がたち、まだまだ浸っていたいオーディエンスに余韻を残して去っていった。
写真:深野輝美 文:千葉原宏美