まるでライヴを見ているかのよう
!!!KYONO+DJ BAKU!!!名義で出演したオールナイト・フジでは、METALLICAにRAGE AGAINST THE MACHINE、果てはMAD CAPSULE MARKETSとゴリ押しな展開となったそうだ。
楽器も操れるDJというのは、ただレコードだけを集めてスピンするDJとは違う目線を持っている。サンプリングなどの切り貼りだけではなく、メロディを重視した展開を見せてくれる。おそらく、DJ BAKUの根幹にあるのはパンクではないかと思う。「D.I.Y(Do It Yourself)」というキーワードも、彼の血肉となり、まるで生のような音像をフロアへと注ぐ力となっている。また、MCA追悼だと思うのだが、ビースティーズを3発繰りだす飛ばしっぷりも、彼以外にはできなかっただろう。
ヒップホップも、ロックも、パンクも、ドラムンビーツも、ターンテーブルの上に乗せられた全てのジャンルが等しく扱われ、曲そのものの良さを浮き彫りとする。フロアごと揺さぶり、汗だくとなるオーディエンスは、さながら「ライヴ」の渦中にいるようだった。
写真:古川喜隆 文:西野太生輝