最終日の切なさ
メインステージでのライヴが終わっても、レッドマーキーは朝までライヴが続くので、まだまだお客さんはいっぱい。入口辺りには椅子がいっぱいで、そのためになかなかレッドマーキー内に入ることができないけれども、なんとかその隙間を縫って中に入ることができた。PAあたりから後ろはまだスペースがあるけれども、ステージ前には踊る気満々のお客さんが詰めかけているし、最終日のレッドマーキーという姿をみせてくれる。
時間きっかりにDE DE MOUSE+Drumrolls(デデマウス・ドラムロールズ)が登場する。ステージ中央にデデマウスこと遠藤大介がいて、ドラムセットが両端にひとりずつ。そして、背後にはスクリーンである。スクリーンにはVJ2人による映像が映し出されていた。映像にはジェイムス・ブラウンやリチャードDジェイムスがミックスされたり、どこかのヘヴィメタルバンドなどの具体的な映像や、『sunset girls』のジャケットのイラストを思わせるような、キュートでドリーミーなものだったり、多様なものだ。
ポップでドリーミーなデデマウスの世界と比べて、生ドラム2人がいるおかげでアグレッシヴな音になっている。その攻撃性、加速感がフジロック3日目の深夜という空気とピッタリあってお客さんたちの盛り上がりもすさまじいものだった。”east end girl(keeps singing)”などのヴォーカルが聴こえた瞬間の反応が、それを待っていたという気持ちを表していた。フジロックは刻一刻と終わってしまう、だけどこの幸せな時間がいつまでも続いていってほしい、その狭間にある切なさがこうした空気を作り出した。そしてキーボードを持ちブースの上に立ってお客さんを煽る。それに応えたお客さんたちの大歓声はステージとフロアの気持ちが重なったことの証明だった。
DE DE MOUSE + Drumrolls
写真:古川喜隆 文:イケダノブユキ